毎年5 月になると、水道の研修で北九州にお邪魔する。私が学ぶのではなく、カンボジアの各地の水道局の皆さんが施設の維持管理とか水質検査、料金設定の考え方などを含む経営のこととかを学びにくる際の、通訳としてのお仕事で。
カンボジアの水道といえば、プノンペン水道公社がカンボジアの株式市場に上場したこと、そしてそこまでの道のりに日本の技術、北九州の水道の技術が移転されていることも各種報道でご存じのはず。私は「言葉の橋渡し」でこのプロジェクトに10 年以上関わらせていただいているのだ。
私は水道の専門家ではないので、通訳をするたびに勉強するし、一緒に学び、理解をしながら数週間から数カ月間の研修に取り組むわけだ。通訳なので、講師が伝える内容をきちんと研修する人に理解させるのが役目なのだけど、実はひそかにこういう研修で一番理解をしているのって私だよなあって思うのだ。技術的な専門基礎がない部分のハンディはあるけど、高校までの理科や物理や数学、生物、化学などの知識でなんとなく水理計算とか配管の設計とか微生物と水質の関係とか、元素がどうのとか、わからなくはないし、水道事業体の経営なんかはボンユキも経営者の端くれ。なるほどねぇ、と思うこともいっぱいある。
通訳は一過性の仕事が多いものだが、カンボジア水道に至っては、10 年以上前にプノンペンでプロジェクトが始まった頃から継続的に通訳を担当させて頂いている。「もはや同志だよ」なんて言っていただき、本当にうれしいのだけど、このままいけば水道の全体をほぼ学ぶ(通訳する)ことができるのだから、将来はどこかの水道局長になれるんじゃないか? なぁんて思うワケです。さてさて、どこの水道局長を狙おうか!? そんな夢が広がる通訳の仕事。今年の研修も熱入りました。
2014.6-7月号(第71号)掲載
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