ウサギとトラ
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2014.08.25
会食通訳となると「猥談」が飛び交うのでタジタジになりながらも堂々と通訳しきる「通訳と猥談」というエッセイを書いたことがあるが、先日の会食通訳の席でこんなことがあった。ある方が「カンボジアではラッキーな男の代名詞として“フランス様式の家を持ち” “中華料理のコックがいて” “日本人妻を持つ” ……なんて言われているんだよ」とおっしゃった。日本人の女性は夫に尽くし、夫を立て、肩もみもしてくれる? そんな風に思われているようだ。まだ(笑)。

「お宅はどうですか?」とその方が聞くと、日本側の男性陣が「とんでもない、もう毎日尻に敷かれて…」とおっしゃる。まぁ、ここまでは社交辞令かな? くらいな感じで通訳していると、男性陣はこう加えた。「もう、結婚前はウサギだったのに、結婚したらトラになりまして(汗)」

あはは、同じ、同じ。万国共通ですねぇ~。なんて両国代表、国旗を掲げた男性陣。その会は国連総会満場一致可決みたいな盛り上がりをみせる。

そんな話を通訳する私も女性の端くれ。そこで私は考える。ん~。そんな風に世界中の女性が言われ続けるのも問題ね。隣にいたご婦人に、あんなふうに今後も女性は言われ続けるのかしら。私、独身女性代表としてお約束します。今はシャチョ~なので世間からはやり手、怖い、すなわち結婚前はトラと思われているんだよってよく言われる私だけど、結婚したらウサギちゃんみたいにかわいらしくなってみせます。頑張ります! そんな女性がいてもいいでしょ??

そんな女性陣によるロビー活動の話はすぐさま本会議会食会場に伝わり(私が伝えるのですが)再び大笑い。なんとも和気あいあい、和やかで楽しい会食となりました。

いやいや、笑い話じゃなくて私はひそかに真剣なんです。

2014.8-9月号(第72号)掲載

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