健康に良いとされるベジタリアンフード。プノンペン都内ではあまりベジタリアンレストランは見かけられないが、実はベジタリアンを日々の生活の中に取り入れているクメール人が多くいる。コロナ感染症をきっかけにオンラインビジネスが流行るのと共に、実はプノンペンにはベジタリアンフードの提供をするベジタリアンオンラインレストランがある。ベジタリアン生活の人たちとベジタリアンレストラン経営者を紹介したい。
「ベジタリアンは自分と家族の健全な体と心を整えてくれる!」
ヘン・ソクヒーさん(36)プノンペンで商売を営んでいる。2003年頃、当時高校生だったころからベジタリアンに興味を持ち始め、2008年から完全なベジタリアンフードを食べることを決めた。生き物の命を大切にしたいという個人の考えと、お肉を食べることが肥満や胃腸の病気を引き起こし、人間の健康にはあまり良くないという自己認識があるという。
自分がベジタリアンとなったことで奥さんもベジタリアンとなったというソクヒーさんには2人の子供がいるが、家族全員がベジタリアンだという。「9歳の上の子が生まれる前から妻がベジタリアン生活を始めました。私たちの家族は健やかに生活できており、生まれた子供も健康に育っています。病には滅多にかかりません。」
ベジタリアンになるには、ベジタリアンの料理のことを良く知ることが大事だという。「ベジタリアンになるには、ベジタリアンなりの食生活を理解しないといけません。つまり、栄養が十分ある5色の野菜を食べることと、調理方法も理解しておくことも大切です。ベジタリアンの料理を食べると、気分が落ち着き、精神的な面でも利点があります。」
ベジタリアンの流行は徐々に広がっているというソクヒーさん。プノンペン都内のベジタリアン料理レストランの数は2000年代と比べて増えているという。
ソクヒーさんが完全なベジタリアンに転向できたことを、周りの人々から褒められるそうだ。それは、今、ベジタリアンになりたい人も多い一方で、肉料理を諦められずにベジタリアンの食生活に耐えられない人もいるのだ。
ベジタリアンは現在のクメール人の理想になりつつあると実感するというソクヒーさん。「近年、私が出た結婚披露宴でも、ベジタリアンの人たちのための席が用意されていることがよくあります。また、ベジタリアンへの偏見も減っています。」
昔は、自分がベジタリアンだと言うと、周りの人々から笑われたり精神的な病を抱えているのではないか聞かれたり、ベジタリアンはおかしいという見方があったとソクヒーさんは語る。だが、今はそういった偏見が薄れていて、周りからベジタリアンになりたいがなかなか実行できないと相談されたり、ベジタリアンが良いことを知って部分的に夕飯を野菜食にし始めたというような話が、周りの人からも多く聞かれているという。気分を落ち着かすベジタリアン生活は、本当に人間の体と精神に良いのだと、ソクヒーさんは自信をもって話してくれた。
「ベジタリアン料理が次第にトレンドになるのでは!」
2007年から教会に通うようになり、ベジタリアンのことを知ったというトー・ソチェアターさん(32)。コンポンチュナン州出身だが、2010年からプノンペンに上京して会社員として働いている。2017年から完全なベジタリアン生活をするようになったという。「今、自分も主人も2人の子供も皆ベジタリアン生活をしています。主食は主に果物と野菜を食べています。ベジタリアンになる前、つまり2007年前までは胃腸の病気にかかり、なかなか治らなかったんです。ベジタリアンの食生活にして以来、悩んでいた病がよくなっていきました。」
最近は、ベジタリアンに転向しようと頑張る人が周りに多くいるという。「ダイエットしたい人、特にベジタリアン料理を食べる女性の話とか、体に匂いがする人もお肉料理をやめてベジタリアン料理を食べるようになったりしてします。」
ベジタリアン料理店の経営者インタビュー~ベジタリアン料理を都内に広げたい!~
プロム・チャンナーさん(39)はLomhorというベジタリアン料理店の経営者である。開店して6年。経営現状についてインタビューさせていただいた。
Q:ベジタリアン料理の現状を教えてください。
A:ベジタリアン料理は普通の料理、お肉料理よりやや高いため、食べる人はまだ限られています。よく食べている人は熱心な仏教の信仰者であり、こういう人々は月に2回から4回ベジタリアン料理を食べています。また、ダイエットや持病を持つ人などお肉があまり食べられない人々がベジタリアン料理を食べています。
Q:ベジタリアン料理を食べる年齢層は?
A:私の店で見てきた限りでは若者の姿はあまりなく、25歳から60代の人々の方がよく食べています。やはり、体の健康のことをよく理解できる人でないとベジタリアン料理に興味を持たないと思います。
Q:お店の経営の現状は?
A:コロナ感染症の前は繁盛しており、一日は100食程度の注文がありました。コロナ感染症の時もオンラインで頑張ってきました。1ボックス1ドル程度でデリバリーサービスを提供し、一日に約200食販売できていましたよ。今は経済状況があまりよくないので、約70%減っています。これはベジタリアンの人の数が減っていると言う意味ではなく、不景気のせいで店に注文して食べる人の数が減っていると言う意味です。
Q:お勧めのメニューは?
A:私の店ではクメールのベジタリアン料理を専門としています。タイ風、ヨーロッパ風のベジタリアン料理以外に、多くのクメールの料理をベジタリアン風にしてメニュー開発をしています。クメール風のベジタリアン料理はとても人気が高いです。
Q:最後の一言をお願いします。
A:ベジタリアン料理は人間の体と心を優しくしてくれます。私たちは、ベジタリアンになることにより、我々の住む世界が平和になると信じています。
オーナーのチャンナーさんがお勧めのクメール風ベジタリアン料理のメニューを紹介してくれました!
※プラホッククティ(ベジタリアン風)
材料:大豆ミート、大豆プラホック、キュウリ、ピーマン、ココナツミルク、ローストピーナツ、パームシュガー、白砂糖、大豆の醤油、キノコのパウダー。
▲ 野菜につけてご飯を一緒に食べる
※野菜ソース
材料:大豆ミート、大豆プラホック、ナス、ピーマン、ココナツミルク、ローストピーナッツ、熟したタマリンドジュース、レモンジュース、パームシュガー、白砂糖、醤油、キノコ、香草。
▲ お好みで野菜と一緒に食べる
野菜のなま春巻き
材料:千切りのニンジン、白インゲン豆、キュウリ、サラダ、香草類、麺類、大豆のミートや揚げた豆腐。
▲ ベジタリアンの魚醤とローストピーナツ、新鮮なココナッツミルクを混ぜたタレと一緒に食べる
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
エアロビクスによるグループ活動の文化とは?
2024.11.01 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
身体を鍛えるジムが大人気?
2024.10.25 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
現代プノンペン都民は健康志向?
2024.10.18 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
教師の職について現役の先生が語る
2024.09.13 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
初等・中等学校の教員を教養するプノンペン教員養成大学(PTEC)とは?
2024.09.06 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
親から見た教師のキャリアとは?
2024.08.30 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
教員養成学校の学生、思いを語る
2024.08.23 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
教師になるためにはどうしたらいい?
2024.08.16 特集記事生活情報誌ニョニュム読み物
NyoNyum127号特集①:ニョニュム発行人・山崎幸恵が語る「ニョニュムの生い立ち」
2023.11.28 NyoNyumフリーペーパー出版特集記事
カンボジアで最もモダンで最大級のマツダ自動車ショールーム 正式オープニングセレモニー開催
2023.11.08 イベントニュースビジネス
アンコール見聞録 #38 遺跡を上から見る
2023.09.12 アンコール見聞録シェムリアップ文化
カンボジア生活情報誌「NyoNyum126号」発行のお知らせ!
2023.08.31 NyoNyum
アンコール見聞録 #37 東南アジア競技大会(Southeast Asian Games=SEA Games)マラソン
2023.07.02 アンコール見聞録シェムリアップ
NyoNyum124号特集⑤:間もなく始まるSEA Games 2023、その認知度は?
2023.04.27 スポーツ特集記事
アンコール見聞録 #34 遺跡写真館
2023.01.12 アンコール見聞録シェムリアップ
カンボジア生活情報誌「NyoNyum121号」発行のお知らせ!
2022.10.14 NyoNyum文化