7月下旬、オンドンルッセイ村で田植えが始まりました。コンポンチュナン焼の陶工の1人、ソッキーの田んぼへ。近くのため池から田んぼポンプで水を揚げてからようやく田植えです。「雨が少なかったのであんまり水がなくて」とソッキー。この村では田んぼの水は天水頼り。雨が少ないと大変です。
次にチェンダーの田んぼへ。苗代から苗取りをしていました。作る米はプカー・ルンドゥールという人気のある香り米です。「やわらかくておいしいよ」とチェンダー。11月半ばから12月頃に稲刈りです。
彼らは陶工ですが、米を作っている農家でもあります。所有する田んぼで家族が1年間食べる米をまかなっています。余れば売りますが、それで得られる現金収入は多くはありません。村で現金収入が得られる生業として焼き物作りが発展してきました。田植えや稲刈りの時期は農業で忙しいですが、その他の時期、特に乾季、稲刈り後から4月のクメール正月ぐらいまでの農閑期には盛んに素焼きが生産されています。
土から生命をもらう。土に生命を注ぎ込んで焼き物を作る。土と生きる人々。コンポンチュナンの焼き物の伝統は農村の風土の中で育まれてきました。釉薬陶器作りはまだこの村では新しい取り組み、チャレンジですが、風土にしっかり根ざして新しい伝統を生み出していきたいと考えています。
2015.8-9月号(第78号)掲載
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