コンポンチュナン焼の原料はすべて地元で採れるものです。粘土の元となる原土は州内で採取しています。釉薬は求める色によって様々な原料を使います。岩石は村から。工房で使用している薪窯から出た木灰。村の田んぼから穫れたお米の籾を焼いて出来た灰。トンレサップ湖から採れたシジミの貝殻を燃やして作る石灰、など。
粘土や釉薬を天然原料で作るには多くの手間と時間がかかります。そこがボトルネックとなって生産が追いつかないようになっていました。天然素材を使用しながらも原料加工の生産性を上げ品質も向上させようと窯業機械を導入、今年初めから稼働しています。
2013年にプロジェクトメンバー2人が栃木県益子へ行き、窯業機械の研修を受けました。そのうちの1人、ドゥーンに機械について聞きました。岩石の粉砕を機械化することによって「人の手でやると3〜4日かかっていたのが、機械だと30分ほど。1時間で10キロほど出来ます」。粘土を混練する土練機で「1日人力で足で踏んで粘土を混ぜて作っても3〜4日分の生産に必要な粘土しか出来ませんでした。土練機だと1時間で1〜2週間分の粘土が出来ます」。
作った粘土は寝かしておいたほうが良くなります。土練機で一度に粘土をたくさん作り、1〜2週間寝かして使うことが出来るようになりました。「寝かした粘土は軟らかくて、ろくろがひきやすくなりました」と陶工の1人、チェンダーは言います。「土練機は混練した粘土内から空気を抜きます。質が良くなり乾いてもひび割れしにくい粘土になります」。
天然原料の良さを最大限に引き出しつつ生産性を上げていく。地元の原料にこだわって、コンポンチュナンという産地に根ざした、ここでしか作れない焼き物を作っていきたいと考えています。
2015.6-7月号(第77号)掲載
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