カンボジア伝統陶器プロジェクトには女性陶工が6人います。おしゃべり好きな彼女たち。ワークショップはいつもにぎやかです。その中でもひときわ豪快な笑い声で目立っているのがチェンダー。彼女は3人の子どもの母親で、夫のサムアートもプロジェクトメンバーです。プロジェクトには6家族から10人が参加、小さな子ども連れで来ていてワークショップはさながら大家族のようです。彼女は子育ても豪快な、肝っ玉お母ちゃんです。
プロジェクトでは釉薬陶器を作っていますが、メンバーはそれぞれ家で素焼き作りもしています。チェンダーの両親は離婚、母が建設作業の日雇いで生計を立てていましたが家計は苦しく小学校を5年でやめました。「自分でお金を稼ぐために近所の素焼きを作っている人を見に行って覚え、10才から素焼き作りを始めました」
長女ラタナーは10才。「子どもたちはまだ小さいので勉強のほうが大事。8年生か9年生(中学2、3年生)になったら焼き物作りを教えたいと思いますが、この村には高い教育を受けた人があまりいないので、大学まで勉強させてあげたい」。チェンダーの夢です。
チェンダーの家族の暮らしを支えてきた焼き物作り。「今はコンポンチュナンで私たちだけが地元の自然の原料で釉薬陶器を作っています。釉薬陶器作りが好きなので自分たちでどんどん作って売っていきたい。もっと売れるようになると嬉しいです」
明 博史(Hiroshi AKE)
カンボジア伝統陶器プロジェクト プロジェクト・コーディネーター。日本でテレビニュース・ドキュメンタリー番組制作、写真、ウェブサイト制作などメディアの仕事に関わる。2000 年、初めてカンボジアに。2009 年、地雷・不発弾対策支援NGO のカンボジア事務局代表としてバッタンバンに赴任。コミュニティー開発支援にも携わる。任期終了後、「カンボジア伝統陶器プロジェクト」に参加。地場産業として盛り上げるべく、生産管理、マーケティング、プロモーションなど担当。現在、カンボジア生活5 年目。
2013.4月-5月号(第64号)掲載
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