カンボジア伝統陶器プロジェクトの女性メンバーで最年少のソッキー、今年22才になります。そして、お母さんになりました「はじめてでちょっと大変でした」と話す彼女。6月28日に出産、可愛い男の子です。しばらくは子育てに専念してワークショップを休みます。
彼女は素焼き作りを兄から習い13才から始めました。今、兄はシェムリアップの窯元で働いています。父は家を離れて仕事をしています。ほかの兄弟たちは結婚してすでに家を出ました。以前、彼女がシェムリアップの窯元へ働きに出た時は、家に母と小さな弟だけが残りました。「シェムリアップではいろんな商品をたくさん作ることが出来ました。でも、母一人で大変だと思ったので村に帰ってきました」
「シェムリアップではカップや皿なんかの釉薬陶器を作っていました。でも村ではニーズがありません」。村でも釉薬陶器を作りたい。それが彼女の思いでした。「釉薬と、使う人が使いやすいものを作る技術をもっと学びたいと思いました」。そして、私たちのプロジェクトに参加。新しい技術を習得したいという強い思いで続けてきました。
「仕事を離れるのは残念です」と話す彼女。「たくさん注文が来ると楽しいです。仕事が好きだから3カ月ぐらいしたら戻りたい」。母親になった彼女の手からどんなものがこれから生まれてくるのでしょう。私たちはソッキーの復帰を楽しみに待っています。
明 博史(Hiroshi AKE)
カンボジア伝統陶器プロジェクト、コーディネーター。陶器生産を地場産業として盛り上げるべく、セールス、マーケティング、生産管理などを担当。日本でテレビニュース・ドキュメンタリー番組制作、写真、ウェブサイト制作などメディアの仕事に関わったあと、2000 年、初カンボジア。2009 年、地雷・不発弾対策支援NGO のカンボジア事務局代表としてバッタンバンに赴任。任期終了後、「カンボジア伝統陶器プロジェクト」に参加。このコラムでは村のメンバーたちのストーリー、声を伝えていきます。
2013.8-9月号(第66号)掲載
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