プノンペンを出発する直前まで、地方出張の途中のガソリンスタンドで入れたディーゼルに水が混じっていて車のエンジンが動かなくなったり、連日の停電に悩まされ家の中を風を求めてウロウロ徘徊する生活を送ったり、さて空港へ出発! と思ったら車の配電線がネズミにかじられ動かなかったり、ドタバタといろんなトラブルを抱えながら、文字通り「脱出」を果たし、5月から2カ月弱にわたり「日本出張」に来ております(執筆現在)。
まったく、こういうトラブルが起きると、「ああ、ここはカンボジア。発展途上国なんだよなぁ」とまじまじと思うのだけど、プノンペンで生活していると、大型ショッピングモールもあるし、近代的なビルやホテルも次々に建設されているし、おしゃれなカフェ、ファストフード店、美味しい日本食店に囲まれ、ある意味生活に不自由しない状態になり、巷では「新興国」という呼び方でもてはやされたりしているので、どこか感覚が鈍っていた自分に気づくのかも。
ともあれ、そんなドタバタ喜劇をいたって真剣に演じながら日本にやってくると、そこは別世界。美しい5 月の新緑、旬の食べ物に囲まれ、気候は穏やかで、何もかもが秩序に満ち溢れ、まさに「近代的」な先進国日本の様々な様子に驚き、いやいや自分はこの国の人間よね、と思い返したり、かといってどこかアウェー感を抱いたり。毎度のことながら、どうも自分の身の置き場がわからない状態に陥ってしまうのだ。
その一方で、日本のテレビでは連日、様々な事件・事故のニュースが流れ、「え、カンボジアと変わらないじゃん…」って思うようなことも結構あるし、そして、SNS やネットで垣間見るカンボジア時事情報は、「うっそ~、そんなことが起きたの?」「やっぱり停電大変なんだ」「日本にいて良かった~」なんて思うようなことが起きている。そんな風に、日本人目線でカンボジアを見たり、カンボジアから来た人目線で日本を見たりしていると、私は一体どこの国の人? なんて、自分がどこか宙に浮いたような感じになる。
私はいったい何人なんでしょう~。
もちろん生粋の日本人、純血100%のMade in Japan ブランド? だけど、20 年以上にわたり生活拠点はカンボジアにあり、仕事だってカンボジアが中心。寝ても覚めてもカンボジア。もはや切っても切り離すことはできない国なのだ。とはいえ、日本では来日したカンボジア人をご案内している日本人。容姿だって、考え方だってやっぱり日本人なわけで、かといって日本でこのまま暮らしたいかというと、それもどうかなぁ、早くカンボジアに帰りたいよなぁ~なんて思ったり。
ん~。私って、カンボジアと日本両国の「異邦人」なのかも知れないなぁ。
2015.6-7月号(第77号)掲載
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