ニョニュムでおなじみのカンボジア国内企業を訪問する「オ・ト・ナの社会科見学」。
今回はカンボジアの観光にはかかせないアンコールワットの保存修復工事を行なっている上智大学アジア人材養成研究センターの方々の活動の様子を紹介します。
「アンコールワット西参道保存修復プロジェクト」
カンボジアの象徴、アンコールワット。神秘的な大寺院を一目見ようと、世界中から毎日多くの観光客が集まる。その際、まずたどり着くのが表玄関である「西参道」。200メートル続くこの道を通り、正門にあたる西塔門を目指す。現在西参道は、上智大学アジア人材養成研究センターの技術協力を受けて、アプサラ機構(アンコール地域遺跡保護管理機構)が修復工事を行っている。
上智大学とアンコールワット西参道の保存修復活動の歴史は20年以上にわたる。1960年代にフランスが修復を行ったものの、内戦の影響で北側を残して中断。内戦が終わり、崩壊間近の国の宝を守ろうと、カンボジア政府はアンコール遺跡研究の
第一人者、上智大学・石澤良昭教授に西参道の修復要請を行った。1996年からの第1フェーズで参道北側の約半分の長さを修復し、2007年に完成。そして現在、2016年から2020年までの予定で、残る半分を修復する第2フェーズの工事に入っている。時間を要してもできる限り当時の技術、材料、形を使って、元の姿で復元することを大切にしているのだという。
また、上智大学アジア人材養成研究センターは「カンボジア人による、カンボジアのための、カンボジアの遺跡保存修復」を国
際協力哲学として掲げており、長期的な人材育成や地域の人々の文化遺産に対する理解と協力を深めることもプロジェクトの大きな目標としている。
第1フェーズの解体工事作業の様子(2000年8月)。当時は特別な重機がなかったため、クレーン付きのトラックで解体工事を行っていた。
西参道内部の構造確認を目的とした考古学発掘調査。今後の修復方針を固めるための重要な作業。
プノンペン王立芸術大学で建築を学ぶ学生たちに対し、研修を行っている。上智大学は1991年から一貫して遺跡保存官養成のために学生研修を継続している。修復の意義を熱く語る研修指導者のマオソックニーさん(写真左)は、王立芸術大学建築学部の出身で、元上智大学研修生。
日本の石職人による、カンボジアの石工に対する技能研修も行う。写真(右)は秋田県出身の吉野正さん。双方の職人が互いに大きな刺激を与え合っているそうだ。
日本とカンボジアの専門家による技術交流研修委員会を頻繁に開催。修復のための技術課題についてより良い方法を見出すべく、検討を続けている。
今年2月に上智大学が主催したメコン国際ワークショップで、ASEAN諸国の文化遺産保護専門家が現場視察に訪れた。
修復作業と訪問者の安全確保のため、西参道は今年5月25日より一般客は通行禁止となり、迂回路が設けられている。写真は迂回路開通前の西参道の混雑状況(2016年12月)。
<NyoNyum No.90より>
上智大学アジア人材養成研究センター
Sophia Asia Center for Research and Human Development
Tel: +81-3-3238-4136 Fax: +81-3-3238-4138 (Tokyo offi ce)
Tel: +855-12-834-144 ( 三輪 悟 Mr. MIWA Satoru, Siem Reap)
E-mail: satoru@online.com.kh (Cambodia offi ce)
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