NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味。恵み豊かなカンボジア
でのスローライフをお届けします)
シェムリアップで暮らす小出陽子さん。NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、「教師の頑張りに感謝!」です。
教師の頑張りに感謝!
生徒数約1000名、教師数13名で、どのように授業運営が行われているのでしょうか? 現在、バイヨン高校・附属中学校で調査を進めているところですが、厳しい現状が見えてきました。
まず、クラス数は極力減らさざるを得ません。その結果、1/3は60人クラスとなり、生徒たちは通常2人掛けの机に3人座って授業を受けています。
次に、都市部の学校には余剰教員が多数在籍しているので、そちらから常時6人ほどの教師に来てもらい、授業をお願いしています。また、教師の授業担当時間の上限は国で定められているため(中学で週
18時間、高校で週16時間)、どうしても教師がいない科目は、eラーニング用授業をTVモニターに流して正式授業としています。
また、各学年、国が定めた必修科目とコマ数はあるのですが、カンボジアでは、教師が足りない場合、科目省略をしたりコマ数を減らしたりするのもやむを得ないとされているそうです。例えば、バイヨン高校・附属中学校では英語の教師が一人しかいないため、英語の授業が半分に減らされている学年もあります。その結果、英語の授業は学校全体で週43時間となっていますが、とても一人の教師で教えられる時間ではありません。そこで、唯一の英語教師・ソリヤ先生は、TVモニターを駆使して、2~3クラス同時進行で授業を行うなど工夫し、週34時間まで減らしています。が、それでも国が規定する授業担当上限時間の2倍! さらに、よくよく聞いてみると、他に歴史の授業も週5時間教え、事務的業務も山積み状態…ということで、これはもう完全にキャパシティオーバーではないでしょうか!
なぜそんなに頑張れるのか…と聞いてみると、生徒たちの“学びたい!"という気持ちがひしひしと伝わってくるから。と、そんな現場の声を聞くと、支援者側の立場として、私自身もっと何かできることはないかと強く思うのです。
(この記事は2022年6月に発行されたNyoNuym119号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
1992年早稲田大学大学院卒。一級建築士。2000年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のため、カンボジアに赴任。2005年~ 2020年、シェムリアップにてレストランCafe Moi Moi を経営。2005年JST(NGO:アンコール人材養成支援機構)を設立し、農村地域の支援活動を始める。2013年“アンコールの都の西北” に公立のバイヨン中学校を創設。2019年には高校も併設され、現在、全校生徒1,000 人の学校運営を行っている。
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38:4人目の勤続10年スタッフ
39:#cafemoimoi で繋がる輪
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41:粋なお福分け
42:魅惑のカンボジア発酵魚料理
43:NyoNyumとカンボジアと私
44:村の中学生たちの日常
45:中学校退学者のその後
46:バイヨン高校がほしい!
47:バイヨン高校、ついに開校!
48:他国事(ひとごと)ながら
49:”パプリカ“歌って英語授業!
50:”サイクリングブーム
51:将来の夢はYouTuber!
52:ナーガ・シンハ彫像修復プロジ ェクト終了!
53:Cafe Moi Moi コロナ禍で一時休業へ
54:バイヨン中高校先生方のコロナ禍副業
55:話し出したら止まらない“将来の夢!”
56:Moi Moi Farmでマンゴー狩り!
57:"一家に一農園"ブーム到来?
58:『インドラネット』
59:日本にもクメール寺院が!
60:コロナ禍乗り越え、 自立したスタッフたち
61:公立学校の教師不足、次なる一手へ
62:教師の頑張りに感謝!
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