NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」
上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。
今回は、NyoNyum100号記念号に掲載されたエッセイです。
NyoNyumの名物コーナーとカンボジアの確実な成長について。
米価が3倍になる継続性
2003年10月に創刊した『ニョニュム』誌が記念すべき100号を迎えると聞きました。
まずは心よりおめでとうございます。
同年10月9日にシェムリアップにて久々に発行人である山崎幸恵さんにお会いして創刊への想いを聞いたことを思い出します。
その際に頂いたCambodia Information Service inc.のManaging Directorと書かれた初々しい名刺は今も大切に保管しています。
2003年を振り返りますと、こんなことがありました。
年の初めに、アンコールワット前では黄色の観光気球が地上200メートルまで上がり始め、シェムリアップの町ではピョンヤンレストランで喜び組による歌と踊りのショーが始まりました。
他方プノンペンではタイ大使館が焼き討ちされるという驚きの年明けでした。
掲載記事について振り返ってみます。
創刊時よりプノンペン中央市場における米価(キロ当たり単価)が掲載されています。
2003年創刊時の3誌(*)の平均価格は1,250リエル。
10年前2009年の6誌平均価格は2,660リエル。
2019年直前の99号だと3,720リエルとなります。
ざっと創刊時の3倍、10年前の1.4倍となります。
「米」はカンボジア人にとって最も大切な主食です。
控えめながら米価を掲載し続ける『ニョニュム』誌の姿勢に、土地に根差した生活情報誌としての自負と当地への敬意を感じます。
米価の変動は生活者にとっての実態的感覚と合致すると感じます。
今後も現地目線を大切にする編集方針でこの国を伝え続けて欲しいと願っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
(*)編集部注:
ニョニュムは2003年10月に創刊し、初めの1年間は毎月発行していた。そのため、これは10月号、11月号、12月号3誌の平均(と言っても実はこの3カ月はまったく価格は変わっていなかった)。
(この記事は2019年4月に発行されたNyoNuym100号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリァップ本部)助教
1997年10月よりシェムリァップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。
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過去の記事
2:「今日はいい天気?」~日本とカンボジア~
3:あれから20年
4:カンボジアは日本の先輩!?
5:アンコールワット西参道前の広場
6:アプサラ機構専門家による熊本視察
7:死んだカエルと干しガエル
8:アンコールワットの矢ワニ
9:西参道正面北側のナーガ
10:石の穴 あいたり、消えたり
11:遺跡内は犬禁止
12:米価が3倍になる継続性
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