NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」
上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。
今回は、大阪万博で使われたカンボジア館の今の姿について、日本の兵庫県からのレポートです。
大阪万博 旧カンボジア館
1970 年に開催された大阪万博は岡本太郎氏が設計した「太陽の塔」の独特なデザインと共に記憶される方も多いかと思う。
当時の万博会場には、三角屋根が特徴であるカンボジア館があった。
万博の翌年、建物は兵庫県神戸市北区に移築され、現在は「広陵町自治会館集会所」として活用されている。
移築後約 50 年が経過し老朽化が進み 2017年に改修が行われたばかりである。
筆者はこの10 月現地を訪ねた。
神戸電鉄有馬線の「山の街駅」を出て東へ少し進むと、遠く眼下に広がる広陵町の町並みの中にランドマークとなる三角屋根が見えてくる。
入口で許可を得て中へ入ると、80 名ほどが参加するイベントが開催されていた。
万博時のアンコールワット西参道の写真が目に入る。
廊下に張り出された利用計画書に目をやると地域のコミュニティーセンターとして頻繁に活用されていることがわかる。
保存を選んだ関係者の努力には敬意を表したい。
思いがけない山間の町にカンボジアの風味が息づく姿に感動した一日であった。
(この記事は2019年12月に発行されたNyoNuym104号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリアップ本部)助教
1997年10月よりシェムリアップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。
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6:アプサラ機構専門家による熊本視察
7:死んだカエルと干しガエル
8:アンコールワットの矢ワニ
9:西参道正面北側のナーガ
10:石の穴 あいたり、消えたり
11:遺跡内は犬禁止
12:米価が3倍になる継続性
13:外国人の遺跡入場者数
14:仏人がジャワに学んだ修復手法
15:アンコールワットの睡蓮
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