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アンコール見聞録 #22 統計に見るウイズ・コロナのアンコール観光

NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」

上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。

今回は、統計に見るウイズ・コロナのアンコール観光について。

 

統計に見るウイズ・コロナのアンコール観光

遺跡チケット販売統計

ニョニュム 107 号(2020 年 6-7 月号)にアンコール観光における新型コロナの初期の影響について記した。

11 月 9日時点において、地球上では感染者累計が全人類 78 億人の 0.64% に相当する 5 千万人を超え今なお感染拡大傾向にある。

一方でカンボジア国内では政府の努力が功を奏しこれまでのところ感染抑制に成功している。

その後のアンコール観光が一体どうなっているのか、アンコール遺跡チケットの販売統計を基に整理してみたい。

 

月間でみる

年間単位で平均した統計をみると新型コロナの影響の少なかった1月から3月前半の数値が混ざるため正確な現状を誤認する可能性が高い。

従って、月間単位で遺跡チケットの販売状況をみることとする。

4月に底をついたのち、その後10月に至るまで月間でおよそ2,000から3,000枚という範囲で推移している。

なおこれは年間約 2 万 5,000 枚を売った1994年頃の月間平均観光客数に相当する。

ただし当時の統計が実数を正確に表現しているかどうかは検証が難しいことを一応記しておく。

 

一日ごとにみる

カンボジアでは新型コロナの感染拡大を防ぐため、4 月13 日から 16 日の正月休みが延期され 8 月 17 日から 21 日に代休が設定された。

正月休みには 146 万人(数値はカンボジア観光省発表)が国内移動し、その後、9 月のお盆休み(111 万人)、10 月の水祭り(64 万人)と大型連休と国内観光需要が結びついた。

特に正月代休の五連休は、3 月以降の新型コロナ感染予防対策の自粛ムードからの反動として一気に動いた感がある。

8 月 16 日のチケット販売数が234 枚となり、一日に 200 枚を超えたのは、3 月 21 日(297枚)から実に 148 日ぶりのことであった。

昨年の年末年始には一日当たり 1 万枚前後売れていることから、この数字が如何に小さいかを感じていただけるかと思う。

 

国籍内訳

▲アンコールワットを訪問する中国人グループ(撮影:2020 年 10 月 21日)

チケットの販売数だけではなく、購入者の国籍内訳をみると興味深いことが分かる。

昨年一年間の購入者に占める中国人の割合は約 4 割であった。

本年 2 月に新型コロナの影響で中国人が急減し、シェア一位をアメリカに譲った。

3月には中国人のシェアは 4%(第七位)にまで下がったものの、4 月以降は驚くべき V 字回復を見せシェア一位に返り咲いた。

第三四半期は何と中国人がチケット購入者の約 6 割というコロナ前以上の高いシェアを占めている。

二位のフランス人が 6% であるから、6 割という数値の凄さが分かる。

これは一体どういうことであろうか。

この統計的事実には驚くが、実際にアンコールワットを定点観察していると団体客として入場する中国人が少なからずいることから統計は正しいであろうと納得できる。

アンコールにおける外国人 98%減の現状はいつまで続くのだろうか。

(この記事は2020年12月に発行されたNyoNuym110号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

 

コラムニスト: 三輪 悟(みわ・さとる)

上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリァップ本部)助教
1997年10月よりシェムリアップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。

 

 

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7:死んだカエルと干しガエル
8:アンコールワットの矢ワニ
9:西参道正面北側のナーガ
10:石の穴 あいたり、消えたり
11:遺跡内は犬禁止
12:米価が3倍になる継続性
13:外国人の遺跡入場者数
14:仏人がジャワに学んだ修復手法
15:アンコールワットの睡蓮
16:大阪万博 旧カンボジア館
17:アプサラ機構創設25周年
18:プノンペンオリンピックスタジアム
19:新型コロナとアンコール観光
20:聖山クーレンでのキャンプ体験に想う
21:聖山クーレンでのキャンプ体験に想う(続編)