NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」
上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。
今回は、三輪さんが初めてアンコールワットを見た20年前について。
あれから20年
「1997年10月21日17:30ワット見た」と手帳にメモがある。
これが私とアンコールワットとの自分史に残る初対面であった。研究室の先輩と2 人での珍道中であった。
前日の夕方、成田を出てバンコクに一泊し、翌朝の VJ(ロイヤルエアーカンボージュ)でプノンペンに着き、飛行機を乗り換え、16:50 にシェムリアップ空港に着いた。
ワットを見た後18: 00にバイヨンホテル106号室にチェックインし、19: 00夕食に出かけた。
当時レストランは限られており、手帳にはバイヨン、バンテアイスレイ、アルン、チベッタイ、サマピアプ、グリーンハウスなどの店名が頻出する。
特記事項としては「アリ超痛い」「カエル多い」「スコール涼しくて気持ちいい」「国王別邸点灯で停電」などがあり、素朴なネタばかりで懐かしい。
当時の体重は 68kg、1 米ドル=3,400リエルとメモされている。
かくして私の初カンボジア生活が始まった。調査研究修復の対象はわずか 200mの近くて遠い道、アンコールワット西参道。あれから丸20 年が経過するも、未だ渡り終えていない。
(この記事は2017年10月に発行されたNyoNuym91号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリァップ本部)助教
1997年10月よりシェムリァップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。
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