アンコール見聞録 #37 東南アジア競技大会(Southeast Asian Games=SEA Games)マラソン
アンコール見聞録 #37 東南アジア競技大会(Southeast Asian Games=SEA Games)マラソン
2023.07.02

NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」

上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。

 

東南アジア競技大会(Southeast Asian Games=SEA Games)マラソン

Sea Games

11カ国の参加国を巡回してシェムリアップに戻った聖火は再びワットボーで夜を過ごした(5月3日)

2023年5月5日~17日にかけて、カンボジアにおいて第32回 東南アジア競技大会が開催され成功裏に終えた。5日の開会式と17日の閉会式の双方をライブ中継で鑑賞したところ、とても立派な演出で驚かされた。正直に申し上げると、当初 SEA Gamesって海のスポーツ大会かな ? と勘違いするほど関連知識のない自分であっただけに、ギャップが大きかった。開催国カンボジアとしては、3年間余り続いたコロナ禍が十分に沈静化し、直後の7月には選挙を控えるという絶妙なタイミングで、国内外に十分に立派な成果を示すことができたといえる。

 

アンコールワットで行われた競技

観戦者は、関係者、マスコミ、動員の生徒が大半であった

6日にマラソンと競歩、11日~13日にかけて自転車競技がシェムリアップで行われた。うちマウンテンバイクがクーレン山で行われたことを除き、競技はアンコールワット前を中心とするアンコール遺跡群で実施された。6日マラソンの一部始終を観戦したので報告したい。

マラソン

男子スタート(6AM)

スタートは朝6時で、男子に続き10分後に女子がスタートした。出走者数は男子10名、女子8名であった。男子のスタート時には、計器の不具合か何かの理由でスタートをやり直した。コースが西参道前とアンコールトムを 4 往復するという設定であり、男子のゴール時には、観戦者の多くがゴールしたことに気付かなかったというハプニングがあった。これには金メダリストに申し訳ない気持ちになった。

またゴールしたと勘違いして再度走り始める選手もいるなど、若干選手が困惑する設定であった感は否めなかった。男女ともに金メダルはインドネシアの選手が獲得した。タイム は、 男子2時間32分59秒、 女 子は2時間48分14秒であった。

カンボジア選手に対しては、生徒らの歓声がひときわ大きく響いた
金メダルを取ったインドネシアのAgus Prayogo選手

 

猛暑

午後の気温は39度まで上がった

6時のスタート時には気温27度であったが、女子のゴール時には32度になっており、とにかく暑い日であった。選手の中には途中で棄権する方がいたり、ゴール後に倒れ込む選手も複数名いた。

午後の20km競歩においてはアンコールワット前の往復1kmのルートを20往復するという設定で、気温39度という過酷な条件でスタートしたはずだが、筆者は猛暑のため観戦に行く元気をすでに失っており写真がないことをお詫びさせていただく。

赤線がマラソンコース(アプサラ機構 FBより)

(この記事は2023年6月に発行されたNyoNuym125号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

 

コラムニスト: 三輪 悟(みわ・さとる)

上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリアップ本部)助教
1997年10月よりシェムリアップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。

 

 

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過去の記事

7:死んだカエルと干しガエル
8:アンコールワットの矢ワニ
9:西参道正面北側のナーガ
10:石の穴 あいたり、消えたり
11:遺跡内は犬禁止
12:米価が3倍になる継続性
13:外国人の遺跡入場者数
14:仏人がジャワに学んだ修復手法
15:アンコールワットの睡蓮
16:大阪万博 旧カンボジア館
17:アプサラ機構創設25周年
18:プノンペンオリンピックスタジアム
19:新型コロナとアンコール観光
20:聖山クーレンでのキャンプ体験に想う
21:聖山クーレンでのキャンプ体験に想う(続編)
22:統計に見るウイズ・コロナのアンコール観光
23:スラスラン中央寺院(仮称)の復元・再構築
24:新型コロナ一年
25:紙幣の図柄をよく見ると
26:遺跡修復新時代
27:レッドゾーン指定でついに修復作業がストップ
28:観光の再開
29:変わるもの、変わらないもの
30:クメール正月再び♪(2022)
31:遺跡を空から見てみると
32:統計に見るコロナ禍からのアンコール観光回復度
33:在住外国人への遺跡無料パス発行と世界文化遺産登録30周年
34:遺跡写真館
35:アンコール遺跡群の世界遺産登録30周年記念イベント報告
36:東南アジア競技大会(Southeast Asian Games = Sea Games)聖火リレー
37:東南アジア競技大会(Southeast Asian Games=SEA Games)マラソン

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