NyoNyum Magazine にて連載しているコラム「アンコール見聞録」
上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者として、シェムリアップでアンコール建築に関する研究を行っている三輪悟さんが、アンコール建築の歴史や、遺跡の周りで営まれる生活、カンボジアにまつわるあれこれを綴ります。
今回は、遺跡だけじゃない?アンコールワットの役割について。
アンコールワット西参道前の広場
2017 年 12 月 3 日カンボジアのフンセン首相はアンコールワット西参道前の広場において国家繁栄を祈る儀式を執り行った。
国内各地より集まった僧侶約 5000 人が参列する光景は壮観であり、公式行事の後、市民が西参道入口テラスに設置された祭壇に祈る姿=写真=は、いかにも平和を感じさせる姿であった。
儀式に際して、首相は中国から直接シェムリアップ入りした。また第22回目となるアンコールワット国際ハーフマラソン開催日と重複したため、マラソンは恒例のアンコールワット前ではなく、バイヨン遺跡前で開催された。
振り返ると、2008 年プリアヴィヘア遺跡が、2017年サンボープレイクック遺跡が世界遺産登録された際も、西参道前で登録を祝う行事が行われた。
12 世紀にスーリヤヴァルマン二世王によって建造されたアンコールワットは、築後 900 年の時を経た 21 世紀の現在においても、国家繁栄と平和の象徴としてその役割を今も立派に果たしている。
西参道は重要な表玄関口としての役割を持ち、「生きた遺跡」を今後も体現していくことになる。
(この記事は2018年2月に発行されたNyoNuym93号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
上智大学アジア人材養成研究センター(シェムリァップ本部)助教
1997年10月よりシェムリァップ在住。専門はアンコール建築学。NyoNyum89号(2017年6月号発行)より遺跡やカンボジア生活にまつわる本コラム『アンコール見聞録』を連載。
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過去の記事
1:アンコールトーイに行ったことありますか?
2:「今日はいい天気?」~日本とカンボジア~
3:あれから20年
4:カンボジアは日本の先輩!?
5:アンコールワット西参道前の広場
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