2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回はカンボジアのコロナウイルスについてのお話です。
カンボジアはアフターコロナ?
新型コロナ感染症が世界中で猛威を振るう中、ここカンボジアでも感染者が連日で確認されたり、プノンペンでも私たちの身近な場所で感染が確認されたりと、緊迫した状況が続いた。
政府は早々に学校の休校、カラオケ・ナイトクラブ・カジノの休業、工場労働者や観光業従事者対応に乗り出したほか、4 月の「お正月の延期」を発表。
一時は州をまたぐ移動も制限されたりと、少し混乱があった。そんな中、私たちニョニュムオフィスも、もちろん少なからぬ影響を受けているが、どうにか3 月、4 月を乗り越え、5月も通常勤務ができている。
一時はスタッフの間からも、会社に来るのが怖い、テレワークができないのかといった声が上がり、正月明けから時短、ローテーション在宅勤務を試してみたりした。
私自身も、いつこのまま緊急事態宣言となり、外出制限が起こるかもしれないと、ある程度のたくわえをすべくスーパーを回ったものだ。
この1 か月以上は国内での感染者の確認もなく、街は平穏な様子を見せている。
その取り戻されつつある日常を一番肌で感じるのが、やっぱり「渋滞」だった。
緊迫していたころは、自宅からオフィスまで車で5 分ほどだったが、日に日に10分、20 分と倍増している。
先日も取材で郊外に行き、もう一か所回ろうとしたら、大渋滞にはまった。排水路の工事をしていたのもあるが、明らかに身勝手な「われ先に」行動が渋滞を巻き起こしている。
ああ、アフターコロナはこの渋滞との闘いか…と率直に思った。コロナという「ウイルス」が人間に害を与える恐ろしいものとして取り上げられている一方で、それが発生する前からある意味「ウイルス」は日常生活に蔓延していると常々思っていた。
「渋滞」という名のウイルスは、それを撲滅するために援助で信号機が設置されたりといった対処療法はされてきたものの、交通ルールを守るとか、根本的な人々の心の中にある何かが変わらなければ、またもとに戻ってしまう。ほかにもいろんなウイルスがあって、人々はそれに苦しめられているわけだ。
日本では「新しい生活様式」といった言葉が使われ始めているし、「行動変容」といった言葉もあるけれど、それを国民が理解し、取り入れ、定着するにはやはり「教育」だったり、「道徳」が必要。
カンボジアの本当のアフターコロナの時代はどうなるのか。渋滞の中でそんなことを思うのだった。
いずれにしても、私の生活はウィズカンボジア。毎日渋滞覚悟で日常生活を生きるしかないってことなのね。腹をくくって生きていこう。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け25年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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