2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、カンボジア国語教育貢献活動!?についてのお話です。
カンボジア国語教育貢献活動!?
この数カ月、カンボジアの国語と向き合う日々を送っています。
カンボジア人の翻訳者に一斉にいろんな翻訳をしてもらい、それを私が最終チェックで文字校正や日本語、英語との対訳として誤訳がないかを見る仕事。
ひたすら画面とにらめっこして、朝から晩まで文字を追う。
そして気づくと、私の眉間にしわが…。
しわの原因は、スペルミス ! 誤訳も多いのですが、それはテキストの難易度によるので仕方がない部分。
でも、スペルミスといったら、「どうしてこのスペル?」「何でここにスペース入れるの?」と、だんだん見ていると具合が悪くなるような勢い。
スペルの問題。クメール語の文字表記はとっても複雑で、音を発生しないのに子音の文字をつけなければならない単語があったり、いろんな記号がとにかく多い。
多い間違いが、អារម្មណ៍(アーロム=気持ち)とបារម្ភ(バーロム=心配する)。
前者をបារម្មណ៍、後者をអារម្ហとしてしまうミス。
「~ロム」の音が同じなので、混乱しているもよう。
音は同じだけど、表記は全く違うのです。
なぜ違うのかと言われると私にもわかりませんが…(多分理由はあるはず)。
それから「色」という単語はពណ៌と書くのですが、ពណ៍となっていることが多い。
右上につく記号が違うんですね。
あとはស្ថានីយ៍(駅)、អនុស្សាវរីយ៍(記念)の「 ៍」がついていない間違い。それからそれから…。
例を挙げだすときりがありません。
そしてもう一つの、スペースのミス。
クメール語は単語と単語の間にスペースを空けません。
英語のように単語が離れててくれたら読みやすいのに、といった声も(外国人から)ありますが、私にとっては変なところにスペースがあると、ものすごく読みにくいのです。
逆に、クメール語には日本語でいう「読点(、)」がないので、それにあたる部分はスペースを開けるというルールがあります。
その基本ルールがめちゃくちゃで、空けなくてい いところにスペースを入れたり、4~5行に渡る長い文章に全く読点にあたるスペースがないと、いったいその文章が何を言いたいのかわからなくなるの
です。
あまりにも初歩的なミスが多く、カンボジアの国語教育はいったいどうなっ
てるの!?とオフィスで一人騒ぐ毎日。
時間があれば教育省、もしくは小学校へ抗議に行きたいのですが、時間がない(スタッフがとばっちりを受けています(笑))。
仕方がないので翻訳者にフィードバックする。
「日本人に指摘されるの恥ずかしいでしょ?」
「カンボジアチームの成果物の品質を上げるために、みんなちょっと初心に戻ってスペル気をつけましょうよ!」
そんな叱咤激励のせいか、だんだん品質は良くなってきました。
私も微々たるものですが、カンボジアの国語教育に貢献できているのかな(苦笑)。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け27年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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