2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、「家族ぐるみのお付き合いのメリット、 デメリット考察」についてのお話です。
家族ぐるみのお付き合いのメリット、 デメリット考察
先日、20年間私のドライバーとして勤めてくれたウーロン(本名はボンロンという名前で愛称ウーロン)が、家庭の事情があって退職となりました。
1998年に個人事務所を立ち上げ、その時にリナさんというお手伝いさんを雇い始めました。
当時プノンペン大学の学生だった私はバイク通学をしていたのですが、数年後に自宅兼事務所にドロボウが入ってバイクを盗まれ、そろそろ交通量も増えてきたし車のほうが安全かもと思い、リナさんの旦那さんのお兄さん(彼女の義理のお兄さん)、ウーロンが2000 年ごろにやってきました。
ポル・ポト時代に物資の輸送などの運転をしていたとかで、山道・森の中をあちこち走った経験があり、ニョニュムやテレビの取材で国境へ行ったり、道なき道を移動することが多く、彼の運転技術は本当に抜群でした。
私が夜な夜な飲み歩いて酔っ払っても、しっかり私を家まで送り届けてくれました。
まさに、カンボジアという異国の地で命を預けていた人です。
思い起こせば、リナさんを皮切りに、義理の兄であるウーロンが運転手、その後にはウーロンの息子が大学に通いながら門番のバイト、さらにはリナさんの従姉妹であるラムちゃんがショップの住み込
みお手伝いさんとなり、そのラムちゃんの息子がショップで働き、リナさんの息子も大学に通いながらショップに住み込み…と、思えばリナさんからどんどん家族・親戚がうちの会社に関わってくれるようになりました。
家族なので基本、仲良し。みんなで私に、会社に愛情をもって接してくれました。
カンボジアで人を雇うときは、なるべく親戚・兄弟を雇ったほうがいろいろな意味で「安全」と言われていて、確かに、安全で安心感に包まれていました。
でもある日、うわぁ。失敗した!と思うことが起きたのです。
それが冠婚葬祭。
リナさんも、ウーロンも、ラムちゃんも、息子たちも…みんな「休暇届」を出してくる。
ええ、ちょっとまった。いっぺんに休まれたら困るじゃん~。でも、冠婚葬祭は断れない。
泣く泣く(?)休暇届にサインして、でもできればなるべく時間差つけてねと、結婚式だったらヘアセットや着替えに時間がかかる女性陣を先に帰し、男性陣はぎりぎりまで働いてもらったりしていたものです。
そんな家族ぐるみのお付き合い。
でも、リナさんは数年前に子宮がんで亡くなり、ラムちゃんもその数年後に乳がんで亡くなり、息子たちも巣立って行きました。
最後に残ったウーロンが今回一区切りとなり、ああ、一つの歴史が終わったなとしみじみと思います。
ココロからひとこと。
「ありがとう」。
そんな思いを込めて。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け27年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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