2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、昨年から続くこのコロナ禍の1年間をがっつりと振り返りました。
がっつり1年間を振り返る
新型コロナウイルス感染症が確認され、世界を包み込みながら1 年以上が過ぎました。
昨年4月にANA 直行便が定期便運航を期限未定の取りやめとすると決定してから、カンボジアにいる
日本人が少しざわめいたのを思い出します。
あの時、私も心の中で「え、どうしよう」と思ったものの、周りが次々に日本へ向かい始めるのを横目に、カンボジアに残ろうと思いました。
まず不安だったのが残されたカンボジア人スタッフのこと。
私がいなくてもこれまで会社はきっちり回っていたものの、クメール正月返上で業務をするとなったことや、やはり得体のしれない事態に不安を抱えているのが目に見えてわかり、日本に行くことは不要不急と考えたのです。
もちろん、事態がどんどん悪化してカンボジアで感染爆発、医療崩壊が起きるかもしれないという思いもありましたが。
そんな「決心」をした昨年4月から丸1年。
この1年間はやはり「新たな日常」の連続でした。
まずは、こんなにカンボジアに留まって生活したのは何年ぶり?ということ。
この5年くらいは日本での仕事のために年間の半分以上カンボジアを留守にしていた。
会う人、会う人に「ボンユキがこんなにプノンペンにいるなんて珍しいね!」と言われるほどです。
そして、昨年の前半は通訳の仕事がまったくなく、こういう時だからこそと、毎日お弁当を作ったり、家飲みのために料理をしたりと、普段できないことをやっていたものです。
そうやってがっつりカンボジアに腰を下ろし、カンボジア人スタッフと会話し、周りのカンボジア人の友達や知り合いと会う機会が断然増えました。
気づけば、うちのスタッフもローンで家を買っていたり、家庭を持っている。
彼らの給料はどうにか維持してあげなければと、お金のやりくりをしたものです。
そして、周りのカンボジア人がコロナ前のバブルな時期に、多くの借金を作っていることも知りました。
事業が廃業に追い込まれたり、事業への投資・マイホームの購入・車などの動産の購入でローンを組
んだりして、コロナ禍で収入が減り、土地が売れなくなり…資金が回らなくなり、返済ができなくなる人の実態。
本当に身近な人の中にそういう話が上がってきて、何をどう助けてあげたらいいのか心痛める日々でした。
これまで当たり前だった日常、夢を描いていた未来が大きく覆される現実。
社会、経済、政治、文化が大きく変動した1 年間。
こうして日々、生活を営んでいられることのありがたさ。
そんなことを実感しながら、がっつりカンボジアに留まってきた、そんな1年間を振り返るこの頃です。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け27年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
【通訳翻訳のご依頼・お問い合わせはこちら】
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