2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、オンライン通訳の落とし穴について。
オンライン通訳の落とし穴
昨年来、新型コロナ感染症が広がる中、2020年は通訳の仕事は激減し、このままやっていけるのだろうか、と不安を感じる日々が続いた。
よくよく考えれば通訳の仕事はオンラインでも可能なわけだし、世界中でもステイホーム、在宅ワークを推奨しているのだから、どんどんオンラインでいろいろなプロジェクトが進むだろう。
そんな風に思っていたのだが、昨年はほぼオンラインでの通訳の依頼がない状態だった。
クライアントからは相談はくる。だが、カンボジア側との調整がなかなか進まない様子。何度も何度も日程調整が入ってくる。
そんな状態も、昨年度末くらいから少し変わり始め、日本側もカンボジア側もオンラインでの仕事が定着してきて、2021年も年度が明けるとオンライン通訳の仕事が入ってくるようになった。
しかし、2020年からほぼ1年間、あまりにも仕事がなくてのんびり過ごしてしまったからか(苦笑)、自分がその日程調整に追いついていかない。
ある時は、2つの案件の打ち合わせやリハーサルが同じ日に重なり、どうにか調整できたと思ったら、日本時間とカンボジア時間を勘違いし、同じ時間にダブルブッキングしていた…。
慌てて調整し直してもらったものの、コロナ前だったらありえない失態。
さらに、通訳中にWi-Fiが落ちたり、停電になったり、しまいにはPC が動かなくなってオンラインシステムにアクセスできず、慌てて携帯にアプリを入れてどうにか開始ギリギリ1分前に入室、それから3時間半携帯片手に通訳をするなんてことも。
もう、オンラインの通訳時は、前の日から胃が痛み出し、「明日の〇時で間違いないよね?」「日本時間が〇時だからカンボジアは×時でいいんだよね?」と何度も何度もスケジュール表を確認し、過去のメールを確認する。
Wi-Fiや停電は自分ではどうにもならないけれど、とにかくしっかり環境を整えることに神経を費やす日々。
変な気苦労を抱えながらも、こうやってお仕事をいただけるのはありがたい。
でも、オンラインで会議をしたりセミナーをしていると、やっぱり対面で相手の表情とかを見ながら話がしたい、そんな思いがこみ上げてくる。
通訳者は機械ではないし、やはり人間のコミュニケーションをつなぐ場面では、その場の温度感を感じて伝えたり、言葉だけでない心を読み取るみたいなことを、通訳者はしているわけだ。
毎回、仕事が終わってクライアントとメールでやり取りする中で、「早くお互い現地に赴いて、対面で仕事がしたいですね」って、そんな言葉を交わす状態が続いている。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け28年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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