2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、「断捨離とDIY」について。
断捨離とDIY
世界中が深刻な状況に陥っている新型コロナウイルス感染症。カンボジアでは11月から規制が解除され、ニューノーマルの生活が始まった。
折しも、待ちに待った乾季が始まったこともあり、周りのカンボジア人も、そして私たち外国人も、ピリピリしたコロナ禍と長く続いた雨季から解放されて、うきうきした気持ちになっている。
そんな中、オンライン通訳が余儀なくされている仕事のクライアントからも、「来月にはカンボジアに行きます」「3月頃にはカンボジア出張を考えています」なんて声が上がってきた。ああ、対面で仕事ができる!純粋に嬉しい言葉だった。
日本とカンボジアの往来はまだハードルは高いが、12月からはバンコクやシンガポールからのカンボジア便も再開されるというニュースも。もちろん、すべてのクライアントの仕事が対面でできるようになるまでにはまだ時間はかかるだろう。
新たな変異株が見つかったという情報もあり、手放しで喜べる状況ではないと解りつつ、でも再びコロナ前のあの頃のような仕事が始まるのでは、という期待は大きい。この約2年間の移動制限や自粛は確実に解消されようとしているのだろう。
思い起こせば、コロナ前の私の仕事は日本とカンボジアを往復する日々に追われていた。最後のほうはかなり疲れが溜まり、カンボジアでも日本でもいいからじっくり一か所で生活と仕事をしたい、仕事を数年休んでどこか別の国でちょっとゆっくりしたいなぁなんて思っていた。
それが、コロナの「おかげ」で実現してしまった途端、今度はコロナで自由に移動ができないことにストレスを感じている。完全な「ないものねだり」だ。
そして実際にカンボジアで約2年、じっくり腰を落ち着けて仕事、生活をする中で、あの時間に追われる日々で見えなかったもの、大切なものが見えてきたような気がする。
2022年はどんな生活になるのだろうと考える。一つ言えるのは、手に入らないもの、失ったものに執着して嘆くのではなく、今の自分にあるもの、周りにあるものに感謝をし、そして満たされないものは自分の知恵や工夫で創っていけばいい。
簡単に言うと、断捨離とDIYの生活だ。コロナ禍で私たちはそんなことを学んだのでは。新しい年、2022年を迎えるにあたってそんな風に思うのだ。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け28年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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