2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、ニョニュム20年を振り返るお話の第3弾です。
ニョニュム20年を振り返ってみよう!Part3
2023年はニョニュムが20周年を迎える年。前号につづき、この20年、私たちが何を見てきたのかを振り返ってみます。今回は Part3として、2013~2017年です。
何を隠そう、この時期はニョニュムの「黄金期」。売り上げが一番良かった。広告収入で営むフリーペーパー事業。地場で活動されるさまざまな業種の広告主様からの掲載費が雑誌発行の源ですが、10年間は思ったよりも広告収入は得られず、通訳部門からの持ち出しで運営していました。しかし、時代がやってきた ⁉
ニョニュム編集部には広告の問い合わせの電話が鳴る、鳴る、鳴る !それもそのはず、AEONモール1号店(2014年)の出店、ANAの就航(2016年)に伴い、さまざまな業態の日系企業・事業者進出ラッシュが起きたからなんですよね。「AEON前→ AEON後」「ANA前→ANA後」なんて言葉が上がるくらい、インパクトのある出来事であり、その恩恵をニョニュムも受けていたのです。日本人のFacebookなどのSNS利用もまだ未開拓の時期で、主流広告形態であるフリーペーパーへの広告掲載はビジネスの一環として当たり前の時代だった、というのも一つの背景かもしれません。
一方の私はといえば、日本での仕事が多くなり、ニョニュムの仕事はスタッフにまかせっきり。とはいえ、遠隔で原稿を確認したり、指示を出したりとしていましたが、日本人スタッフも多くなり、安心してまかせられる態勢はばっちりでした。ANA就航のおかげで日本に行くのも楽になり、日本でカンボジア人研修員の対応をしながら、翻訳や各種商談対応をする傍ら、ニョニュムショップ、ニョニュムクメール(カンボジア人向け日本紹介フリーペーパー)の事業などなど、本当に何足ものわらじを履きながら駆け抜けた5年間でした。年齢も40代に突入していましたが、とにかく仕事に明け暮れる毎日。今思えば自分でもよくやったなぁと思います。
それもこれも、カンボジアの経済が安定し始め、カンボジアとの日本の関わり方が「援助対象国から投資先」へと大きく変わり始めたからなのかもしれません。一方で、ニョニュムの「伝える」という仕事
はあくまでもカンボジアの「日常」。ビジネス情報発信ということも考えましたが、そういうのはプロのコンサルタントやその業界の専門の人がやればいい。あくまでも、私たちはカンボジアの生活者として、生活情報を発信し続ける。創刊当初からのその思い、ニョニュムに課した「使命」を持ち続けました。
さぁ、経済的にも余裕をもってニョニュムを育てていこうと、次号で最終回となる次の5年間の「ニョ
ニュム20年を振り返ってみよう!Part4」に入っていきます。しかし、その5年間は思いもしなかっ
た事態が起きます。それは、「コロナ前→コロナ禍→コロナ後」でした。(次号へ続く)
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け28年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
【通訳翻訳のご依頼・お問い合わせはこちら】
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