2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、「これから」です。
これから
ニョニュム 20周年を迎え、雑誌としての発行を終えるこの号を出すのにあたり、特集や編集後記でニョニュムへの思いを綴ってきましたが、20年という時間をこのニョニュムとともに生きてきた私個人にとっても、今年は大きな区切りの年となります。年齢的に半世紀を超えたこともあるし、ニョニュムの母体となる会社も20周年、自分の通訳・翻訳者としてのキャリアは25周年、そしてカンボジアと関わってからも来年で30周年を迎えます。
いろんな区切りを迎え、いろんな意味で「やり切った」と思っている自分がいます。自分で道を作り、枠を作り、休む暇もなくがむしゃらに動き続けてきましたが、そろそろゆっくりしたいなあという気持ちが強くなっています。特にコロナ禍でぽっかりと時間ができたことでその思いが強くなりました。
思えば、私は「カンボジアに行ってみたい」「プノンペン大学に行ってみたい」「通訳・翻訳の仕事ができそう」「フリーペーパーを作ってカンボジアの情報を発信したい」「カンボジアで根を下ろすために会社を作ろう」「コンポンチュナン焼というカンボジアのブランドを生めるのではないか」「カンボジアの手工芸品を売るお店を作って生産者の誇りを伝えたい」。
そんな、その時その時の “ひらめき” のようなもので動いてきたと思います。それは “パッション(情熱)” というのかもしれませんが、もちろんそういう自分を動かす力もありながら、どこかで自分に降りてきた使命のようなものも感じながら、カンボジアで30年を過ごしてきました。
今回、あらゆる意味での区切りということもあり、「これから」を考えるようになりました。すでに「こういう “これから” を送っていきたい」というものが降りてきていて、それに向かって自分の生活や仕事の仕方がシフトし始めています。その形はここで文字にして言い切ることはできないけれど、おそらくこれからの私の生き方が物語るのだろうと思います。
まずはニョニュムの締め切りに追われる日々がなくなるのは間違いない。通訳や翻訳、ほかにもいっぱい仕事を抱えながらの締め切りのある生活は本当に大変で、それがなくなると思うとどこかホッとしている、というのが本音です(苦笑)。
その時間を「これから」に費やしながら、その「これから」を深めていく。まずはそこからのスタートとなります。新しいライフ & キャリアスタイルの始まり。2023年は私にとってそんな年になりました。いったん、20年にわたるニョニュム発行というゴールのロープを切って、次の準備を始めようと思います。
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け29年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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