このコラムはプノンペンにあるラッフルズメディカルカンボジアの八木加奈恵先生がカンボジアで子育てを通じて様々な子供との接し方などを紹介していきます。
今回は「蟯虫」です。
「蟯虫」
私たちが幼稚園や小学校低学年の頃は年に一度、蟯虫検査を学校に提出しなければいけませんでしたが、現在は、日本での蟯虫感染の頻度が著しく低下したため、2016年に定期検査は廃止されました。しかし、カンボジアでは蟯虫感染の頻度がまだまだ高いのが現状です。
蟯虫とは人間の大腸・直腸で生活する寄生虫です。大きさは2mm~13mm、色は白色で、ちりめんじゃこのような形です。メスが夜間に肛門から体外に出てきて肛門周囲に1万個もの卵を産み、肛門周囲を動き回ることで痒みが生じます。
蟯虫に感染しても無症状のことも多いですが、お尻の痒みが強く出ると、肛門周囲を掻きむしります。すると手に付着した蟯虫の卵が衣類やベッド、シーツなどに散らばることとなり、それを触った別の人の口に入ることで感染が拡大します。
もし、お子さんがお尻の痒みを訴えた場合は、お尻を観察してみてください。白い小さな蟯虫が動いているのを発見できる場合があります。治療は抗寄生虫薬を1回内服し、その2週間後に再度内服します。薬は成虫には効果がありますが、幼虫や卵には効果がないため、2回の内服が必要です。
また、蟯虫は感染力が強く、家族内感染の可能性が高いため、蟯虫が疑われれば家族全員が同じ日に薬を内服して治療する方が効果が高いです。カンボジアに在住していれば、決して珍しいものではないですので、疑わしい場合は積極的に治療することをお勧めします。
ラッフルズメディカルカンボジア小児科専門医、総合診療医、タッチセラピスト。乳児検診、発達障害児診療、成人の心療内科等臨床経験多数。平日毎日出勤。2 児の母(子育て中)。
Raffles Medical Cambodia
<過去の記事一覧>
1:子供のストレスとどう向き合う?
2:友達付き合いの大切さ
3:不登校①
4:不登校②
5:「過保護」と「過干渉」
6:「共感の声かけ」
7:「スキンシップのすすめ」
8:「挨拶の出来る子」
9:「発達と感覚」
10:「子供の叱り方」
11:「親の祈り」
12:「ゲームやYouTubeとの付き合い方」
13:「続・ゲームやYouTubeとの付き合い方」
14:「子供の力」
15:「蟯虫」
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