(日本語) どうしましたか #19 鳥インフルエンザとワクチン
(日本語) どうしましたか #19 鳥インフルエンザとワクチン
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、鳥インフルエンザとインフルエンザワクチンについて。

鳥インフルエンザとワクチン

鳥インフルエンザ(Avian Infl uenza, BirdFlu)はあくまで「鳥」のインフルエンザであって、「ヒト」のではない。しかし、まれに鳥からヒトに感染して致命的となる。

カンボジアで時々報告される H5N1 型や中国で最近流行していた H7N9 型(いずれも A型の亜型)がニュースになるのは、本来鳥固有の病気でヒトが感染することはないはずなのに、ヒトが死ぬからである。

今のところ、これらの鳥インフルエンザはパンデミック(世界的大流行)にはなっていない。
カンボジアではどのような人が犠牲になったかというと、養鶏場で手伝いをしていた子供や、路上で死んでいた鳥を拾って食べた人などである。つまり、鳥と濃厚な接触を持った人だけなので、それほど心配する必要はない。

プノンペンでは、すでに 6 月末からインフルエンザが流行しているが、鳥とは全く関係のない人ばかりなので、単なる季節性インフルエンザだと思われる。

インフルエンザワクチンは、WHO(世界保健機関)がその年の種類を決定し、それを基に各国のワクチン製造会社が製造する。
A 型 2 種類 +B 型 1 種類が基本で、今年は北半球用ワクチンの A型に H1N1と H3N2、B 型にマサチューセッツ型が選択された(南半球用のは B 型が異なるタイプ)。当然、鳥インフルエンザは含まれていない。

北半球ではどこの国でも 9 月末にならないとワクチンは入荷しないが、例年 12 月までは流行するので入荷したらなるべく早めに受けていただきたい。

(この記事は2013年8月に発行されたNyoNuym66号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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9:洪水とレプトスピラ症
10:カンボジアの薬事情(前編)
11:カンボジアの薬事情(後編)
12:今年はデング熱の当たり年!?
13:医学的に正しい究極のダイエット法『糖質制限』
14:医学的に正しいダイエット法『糖質制限』その 2
15:医学的に正しいダイエット法『糖質制限』その 3
16:その『腸チフス』、本当!?
17:蚊に刺されたらハイドロコロイド
18:風疹ワクチンと先天性風疹症候群
19:鳥インフルエンザとワクチン

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