(日本語) どうしましたか #21 胃の中の悪魔『ピロリ菌』
(日本語) どうしましたか #21 胃の中の悪魔『ピロリ菌』
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、胃の病気を引き起こす厄介な菌について。

胃の中の悪魔『ピロリ菌』

(この記事は2013年12月に発行されたNyoNuym68号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)という細菌をご存じだろうか?
胃の中に棲みついて、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、リンパ腫など様々な胃の病気を引き起こす原因となることが長年の研究でわかってきた。

ピロリ菌は口から感染するが、そのルートはまだはっきりしていない。
日本は先進国の中では飛び抜けて感染率が高く、特に50 才以上では約 50% である。しかし衛生環境の整備に伴い、ピロリ菌に感染している割合は年々減少し、若い世代では低くなっている。

幼少期に感染し、成人してからはほとんど感染しない、といわれている。
だが日本にいるときはピロリ菌陰性であった人が、カンボジアで数カ月生活している間に陽性になったということもあった。やはり、その国の衛生事情と密接に関係するので、カンボジアではピロリ菌陽性率がかなり高いと考えてよいであろう。

ピロリ菌感染の有無を調べるにはいくつか方法があるが、最も簡単なのは血液か便の検査である。いずれも当クリニックで検査可能である。ピロリ菌に感染していることがわかったら、除菌したほうがよい。除菌療法は、3 種類の薬を朝夕の 2 回、7 日間飲むだけである。

そして胃の調子が悪い人には、内視鏡検査(胃カメラ)をおすすめする。これも近日中に当クリニックで導入予定である。

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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11:カンボジアの薬事情(後編)
12:今年はデング熱の当たり年!?
13:医学的に正しい究極のダイエット法『糖質制限』
14:医学的に正しいダイエット法『糖質制限』その 2
15:医学的に正しいダイエット法『糖質制限』その 3
16:その『腸チフス』、本当!?
17:蚊に刺されたらハイドロコロイド
18:風疹ワクチンと先天性風疹症候群
19:鳥インフルエンザとワクチン
20:医療における『迷信』!?
21:胃の中の悪魔『ピロリ菌』

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