(日本語) どうしましたか #25 チクングニヤ熱をご存じですか ?
(日本語) どうしましたか #25 チクングニヤ熱をご存じですか ?
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、チクングニヤ熱という蚊の運ぶ病気について。

チクングニヤ熱をご存じですか?

「高熱」「頭痛」「関節痛」が出るとまず疑うのがデング熱である。
だが、デング熱とほぼ同じ症状を呈するチクングニヤ熱という病気もある。

「チクングニヤ」とはアフリカの言語の1つであるマコンデ語で「曲げるもの」という意味で、体をかがめて関節痛に苦しむ患者の様子を表したものが語源と言われている(ちなみに「デング」はスペイン語で「引きつり、こわばり」の意味)。

原因は、やはりデング熱と同じネッタイシマカとヒトスジシマカという蚊が媒介するウイルスである。
これらの蚊は地方よりも都会に多く、プノンペン、シェムリアップ、シアヌークビルは危険地帯に指定されている 。

また他の動物よりもヒトを好んで吸血し、すぐに逃げる習性があってなかなか殺されないので 1匹で複数の人間を刺す。実にたちの悪い蚊なのである。

症状はデング熱に比べて軽くすむことが多い。
発熱期間はデング熱の 4 ~ 7 日間に対して、チクングニヤ熱は 1 ~ 5 日間である。
また血液中の血小板数が下がるために生じる出血傾向も、デング熱ほど心配する必要はない。

以前は迅速検査(血液を採ってから約 15 分後に結果が得られる)がデング熱のものしかなかったので、デング熱でなければ「おそらくチクングニヤ熱でしょう」と説明していたが、最近はチクングニヤ熱の迅速検査も可能となった。

治療もデング熱と同じく、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン(商品名カロナールなど)しかない。
ワクチンもないので予防法は蚊に刺されないようにするしかないのである。

(この記事は2014年8月に発行されたNyoNuym72号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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15:医学的に正しいダイエット法『糖質制限』その 3
16:その『腸チフス』、本当!?
17:蚊に刺されたらハイドロコロイド
18:風疹ワクチンと先天性風疹症候群
19:鳥インフルエンザとワクチン
20:医療における『迷信』!?
21:胃の中の悪魔『ピロリ菌』
22:胃食道逆流症について
23:鼻から胃カメラ!?
24:インフルエンザ。今年は早めのワクチンを!
25:チクングニヤ熱をご存じですか?

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