(日本語) どうしましたか #28 健康法としての糖質制限②
(日本語) どうしましたか #28 健康法としての糖質制限②
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、糖質を減らすことの大きなメリットについて。

健康法としての糖質制限②

前回は、糖質制限が優れた健康法であることを述べた。今回はその理由を説明しよう。

三大栄養素の「炭水化物」「タンパク質」「脂質」のうち血糖値を上げるのは炭水化物だけである。
炭水化物を食べると血糖値が急上昇する。上がった血糖値を下げようとしてインスリンというホルモンが分泌される。

この「高血糖」「高インスリン」が人体に様々な悪影響を及ぼす。
血管の内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を促進し、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる。

また発がんの危険性が著しく高まるという研究報告がここ数年相次いでいる。特に腎臓がん、膵臓がん、食道がん、子宮体がん、胆嚢がん、大腸がん、乳がんの七つには肥満が大きく関わっていることが判明している。

肥満は生活習慣に起因しているため、これら七つは生活習慣型と呼ばれており、先進国で急増しているタイプのがんである。さらにがん細胞はブドウ糖しかエネルギーとして使えないということがわかっている。

炭水化物つまり糖質を制限すれば、高血糖も高インスリン状態も起こらないので、動脈硬化も生じにくくなる。肥満も解消されるし、がんの予防にも役立ちそうだ。

食事の脂質は動脈硬化を悪化させないということも最近わかった。また糖質制限をすれば脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)も改善する。

カンボジアの食事は米飯をはじめ、炭水化物が非常に多く、生活習慣病が問題化するのは必至である。特に肥満や糖尿病はすでに著しく増加している。人々の健康が懸念される。

(この記事は2015年2月に発行されたNyoNuym75号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

ケン・クリニックホームページ

次の記事:

前の記事:

過去の記事:

18:風疹ワクチンと先天性風疹症候群
19:鳥インフルエンザとワクチン
20:医療における『迷信』!?
21:胃の中の悪魔『ピロリ菌』
22:胃食道逆流症について
23:鼻から胃カメラ!?
24:インフルエンザ。今年は早めのワクチンを!
25:チクングニヤ熱をご存じですか?
26:ビタミンC神話
27:健康法としての糖質制限
28:健康法としての糖質制限②

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

関連記事

どうしましたか #80 ニョニュム最終号によせて

2023.10.25 医療医療コラム「どうしましたか」

どうしましたか #78 COVID-19 騒動の終焉宣言

2023.06.25 医療医療コラム「どうしましたか」

どうしましたか #77 コレステロールの真実(後編)

2023.05.09 医療医療コラム「どうしましたか」

おすすめ記事