(日本語) どうしましたか #36 MEC食(後編)
(日本語) どうしましたか #36 MEC食(後編)
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、先生おすすめの食事ダイエット法の疑問について。

MEC食(後編)

MEC 食は肉・タマゴ・チーズが中心で、マヨネーズ、バター、生クリーム、オリーブオイル、ラードも OK!しかも制限なし。
いずれも従来のダイエットでは御法度のものばかり。当然次のような疑問がわくと思うので、ひとつずつ解決していこう。

カロリー数は気にしなくていいの ?:
食物カロリー(熱量)は、19 世紀の化学者が食物を燃やして得られた熱量を測定して算出した。
栄養素それぞれの持つ熱量(kcal)は炭水化物 4、タンパク質 4、脂質 9 である。

食物は人間の体内で①体温の維持と②脳の活動と筋肉運動に用いられ、③体の組織・器官を作る材料となる。
①②は熱量そのものであるが、③は無関係。したがって『食物』=『エネルギー+体を作る材料』であり、『食物』=『エネルギー』ではない。カロリー神話はすでに崩壊しているのである。

コレステロールや中性 脂肪が増えるのでは?:
食後高血糖(ブドウ糖)によって血管の内側が損傷される。これを修復しようとしてコレステロールが沈着する。さらに進行すると血管内腔が狭くなる。これが動脈硬化である。

動脈硬化を起こした血管にはコレステロールが多量に沈着しているので悪者扱いされてきたが、たとえると「火事場で火消しをしている消防士なのに放火犯扱いされてきた」ということが最新の研究で判明している。
悪いのは糖質であって、コレステロールはもはや悪者ではないのである。

また脂肪は糖質とともに摂取することによって身体に蓄えられる(肥満、脂肪肝)。
低糖質であれば、いくら脂肪を摂っても一定量しか吸収されず、余分な脂肪は便とともに排泄されるので大丈夫。

安心して MEC 食を召し上がれ!

(この記事は2016年6月に発行されたNyoNuym83号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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27:健康法としての糖質制限
28:健康法としての糖質制限②
29:アメイジング・グレイスを聴きながら
30:熱中症に注意!
31:MERS に備えて知識のワクチンで予防しよう!
32:スラービアーを、もう1本
33:虫下し薬は飲んだ方がいいの ?
34:MEC食(前編)
35:MEC食(中編)
36:MEC食(後編)
37:世界三大感染症 その①結核

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