(日本語) どうしましたか #37 世界三大感染症 その①結核
(日本語) どうしましたか #37 世界三大感染症 その①結核
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、世界三大感染症の1つ目:結核について。

世界三大感染症 その①結核

世界の三大感染症といえば「結核」「エイズ」「マラリア」である。
まずは結核について説明しよう。

日本では明治時代「国民病」と称されるほど流行していた。
当時は「亡国病」「不治の病」と恐れられていたが、抗結核薬の登場とともに「治る病」になった。
しかし現代でも世界中で感染・死亡の多い病気である(2013年の感染者数は 900万人、死者数は150万人)。

よくドラマや映画などで咳とともに血が出る(喀血)シーンを見たことがあると思うが、あれは相当進行した状態である。初期には微熱、倦怠感、食欲不振などが数週間続くのみで、喀血はもとより咳・痰などの呼吸器症状に乏しいこともある。

またヒトからヒトへ容易に感染する(空気感染)。ヒトにうつす危険性の高い患者は、日本では隔離入院しなければならないが、カンボジアではそのような法律がなく、外来で治療されることがほとんどである。

治療には約 6 カ月間を要する。ところが、少しでも症状が良くなると勝手に通院を止めてしまったり、処方された薬を転売したりする人がいる。そして症状が再燃してきたときに、もう一度同じ薬を服用しても効かない。
これが多剤耐性肺結核(数種類の薬が効かない肺結核)を生み出す原因となっている。

カンボジアだけでなく、多くの途上国で問題となっている現象である。

次回は結核と関係の深い「エイズ」について説明する。

(この記事は2016年8月に発行されたNyoNuym84号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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28:健康法としての糖質制限②
29:アメイジング・グレイスを聴きながら
30:熱中症に注意!
31:MERS に備えて知識のワクチンで予防しよう!
32:スラービアーを、もう1本
33:虫下し薬は飲んだ方がいいの ?
34:MEC食(前編)
35:MEC食(中編)
36:MEC食(後編)
37:世界三大感染症 その①結核
38:世界三大感染症 その②エイズ

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