NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。
今回は、世界三大感染症の2つ目:エイズについて。
世界三大感染症 その②エイズ
世界三大感染症のうち、結核とマラリアはどこか「発展途上国の病気」という感がある(日本の結核を除く)。しかしエイズ(後天性免疫不全症候群)は先進国でも常に問題となっている。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると 2 ~ 3 週間後に『風邪症状(発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹、関節痛など)』が出る。程度は様々で、無症状の人もいる。
その後数年から 10 年の無症候期間を経た後に免疫力の低下から、発熱や体重減少、下痢などが現れ、肺炎や皮膚病をきたす。これがエイズである。
主要先進国において、HIV 感染者は 21 世紀に入って増加しているが、エイズ患者は減少している。
これは、HIV 感染は相変わらず流行しているが、エイズ発症に至るまでの人は少なくなっているということであり、検査態勢が整ってきた証拠である。
しかし、日本だけは HIV 感染者もエイズ患者も増加しているのである。検査が遅れていることを意味している。
カンボジアはかつてエイズが蔓延したが、「世界で最もHIV流行の縮小に成功した国のひとつ」として、国連のミレニアム開発目標賞を 2010 年に受賞している。国を挙げて HIV/ エイズ対策に取り組んできた証である。
HIV 感染はエイズ発症前に発見すれば、今や「治る病気」となった。
最近やたらと「風邪をひきやすくなった」「リンパ節が腫れる」「発熱を繰り返す」「急に体重が減った」という症状があって、なおかつ心当たりのある方は HIV 検査を受けることをおすすめする。
(この記事は2016年10月に発行されたNyoNuym85号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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