NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。
今回は、ケン先生のビールに関する実験について。
ビールと血糖値の関係
昨年(2016 年)末、ヤフー ・ ニュースで気になる記事を見つけた。
市川衛さんという医療ジャーナリストが書いた『ビールで血糖値は上がらない ?』というものだ(興味のある方は検索してご覧ください)。
この記事の結論は「現段階では明確な回答ができるほどの根拠を手に入れることはできなかった」であった。
読後不完全燃焼感を覚えたので、自分の身体で試してみた。
母(持病なし。お酒大好き 80 才)も自ら実験台を買って出た。Angkor、CAMBODIA、Tiger、LEO、アサヒスーパードライ、キリン一番搾りの 6 種類。いずれもプノンペンのスーパーで購入。
アルコールは 5%、1 缶330ml。糖質量は表記がないので明確ではないが、普通のラガータイプなので 1 缶あたり9.9 ~11.8gと考える。
これを空腹時に1 缶ずつ 2 分以内に飲み干して、その後の血糖値を測定した。
他には一切何も口にしない。
その結果、私(空腹時最低 97 →飲後最高121)、母(空腹時最低 89→飲後最高163)であった。
血糖値は180mg/dl を超えると血管が傷ついて糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、痴呆、がんなど様々な病気を引き起こす。
今回の実験結果から導き出される結論は「ビールを飲めば血糖値は上がる。でも1缶なら OK」というものになろう。
ビールには糖質が多く含まれているので、低 糖質食として普通は NGだ。
しかし私は常日頃「ビールは、最初の1杯は糖質に数えない」と自分に言い聞かせ、患者さんにもそのように指導(?)している。
図らずも(いや、図ったか ?)それが正しかったことが証明された。メデタシ、メデタシ。
(この記事は2017年2月に発行されたNyoNuym87号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
ケン・クリニックホームページ
次の記事:
前の記事:
過去の記事:
29:アメイジング・グレイスを聴きながら
30:熱中症に注意!
31:MERS に備えて知識のワクチンで予防しよう!
32:スラービアーを、もう1本
33:虫下し薬は飲んだ方がいいの ?
34:MEC食(前編)
35:MEC食(中編)
36:MEC食(後編)
37:世界三大感染症 その①結核
38:世界三大感染症 その②エイズ
39:世界三大感染症 その③マラリア
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
どうしましたか #71 長引く咳「感染後咳嗽」とは?
2022.04.19 医療医療コラム「どうしましたか」
どうしましたか #70 オミクロン株は終わりの始まり
2022.02.17 医療医療コラム「どうしましたか」
どうしましたか #69 コロナの飲み薬、ついに市場へ !?
2021.12.17 医療コラム「どうしましたか」
どうしましたか #68 中和抗体とは?
2021.10.18 医療コラム「どうしましたか」
アンコール見聞録 #29 変わるもの、変わらないもの
2022.03.04 アンコール見聞録シェムリアップ
【旅育!!ノマド家族。】⑯プノンペン市内でも旅育!
2022.01.05 【旅育!!ノマド家族】プノンペン
NyoNyum115号特集:①すべての力を出し切り、成長の階段を上る選手たち~水泳編~
2021.11.24 特集記事
NyoNyum114号特集:①はじまりは、お給料 ~行政改革の一環として、公務員の給料を銀行振込へ~
2021.09.29 ショッピング(生活)特集記事