NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。
今回は、食あたり後のおすすめメニューについて。
「消化の良い食べ物」とは?
4 月である。
一年中暑いカンボジアで、最高に暑い月だ。
細菌性胃腸炎(いわゆる「食あたり」)が最も多くなる時期でもある。
2 月下旬からこの時期にかけて、吐き気、嘔吐、下痢を訴えて来院する患者さんが毎日引きも切らない。
そういう方からの、よくある質問が「何を食べれば良いでしょうか ?」というものだ。
私は「まず塩分が適度に入っているミソ汁やスープから始めて、つぎに消化の良いもの、そしてだんだんと普通の食事に近づけるようにしましょう」と答えている。
嘔吐、下痢で失われるのは水分、塩分が主体であるので、これらをまず補給することが大事だからである。
では『消化の良い食べ物』とは何であろうか ? 普通思い浮かぶのは、おかゆ、パン、うどんなどであろう。
しかし胃液の中には炭水化物を消化する酵素は含まれないので、実はこれらは非常に消化の悪いものなのである。
おまけになんとか消化しようとして胃酸をせっせと出すので、胸 焼けがしたり、気持ち悪くなったりする。
それに対してタンパク質はとても消化が良い。
胃の中でペプシンというタンパク質を消化する酵素が分泌されるからだ。肉や魚は 5 分で胃の中から消えることがわかっている。
したがって『消化の良い食べ物』でおすすめは、肉、魚、卵、豆腐、チーズが中心となる。
具体的には肉のスープ、魚のスープ、湯豆腐、茶碗蒸し、肉や魚の卵とじ、豆腐の卵とじなど。
チーズはそのままで良いが、普通のものが苦手な人には、クセのないクリームチーズが良い。
お試しあれ。
(この記事は2017年4月に発行されたNyoNuym88号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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