NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。
今回は、東南アジアでのインフルエンザの注意点について。
インフルエンザ予防は年2回のワクチンで
インフルエンザは暑いカンボジアでも流行する。
今までに幾度となく書いてきたが、新しく来られた人もいるので、注意を喚起する意味で再度説明しよう。
日本では冬の風物詩のひとつなので、インフルエンザは「寒い時期に流行する」あるいは「寒い国でしか流行しない」と思っている人が多い。
ところが、カンボジアでは 1 年に 2 回流行シーズンがある。
例年 6 月~ 8 月と10 月~12 月である。
昨年は4 月末から 9 月末までかなり長期間にわたって患者が続出した。
今年は、この原稿を書いている 5 月中旬時点でまだ一人も出ていないが、これから流行することが予想される。
毎年、自分の家族あるいは同僚がインフルエンザと診断されてから、慌てて接種しに来る人がいるが、潜伏期間がわずか 1 日から 7 日間であるのに対して、接種してから抗体ができるまで 2、3週間を要するので、早めに受けた方がよい。
また「今まで一度もかかったことがない」「ワクチンをうったのにかかった」「面倒くさい」などという理由で受けない人もいる。
しかし、インフルエンザワクチンの効果は程度の差はあっても、今まで一度も「はずれ」であったことはない。
赤道直下の国々では、南半球からも北半球からもインフルエンザウイルスが入りやすい。
南半球は今、冬であり、インフルエンザワクチンはすでに出荷されて、東南アジア全般にも行き届いている。
接種後有効期限は約 6ヶ月間しかないので、カンボジアでは、ぜひ 1 年に 2 回、半年ごとの接種をおすすめする。
(この記事は2017年6月に発行されたNyoNuym89号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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