NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法まで「カンボジアにおける医療のよしなしごと」を愉快に綴ります。
今回は、かつて流行した「謎の奇病」の注意点ついて。
手足口病は大人にもうつる!?
6 年前の 2012 年、『カンボジアで謎の奇病が流行 !』というニュースが世界を駆け巡った。
生後 3 カ月から 11 才までの子ども 50 人以上が、原因不明の高熱や呼吸機能低下、脳炎を起こして次々に死亡したのである。
かなり大きく報道されたので日本からの問い合わせが多かった。
中止になったツアーも少なくなかった。
ほどなくして、原因は手足口病を起こすウイルスの一つ、エンテロウイルス 71(EV-71)であったことが判明した。
実はこの EV-71は、たまに脳炎を起こすウイルスとして以前より日本でも知られている。
6 年前の死亡率の高さは「たまたま」であったと考えられる。
そしてこの手足口病が現在プノンペンで流行している。
といっても、毎年流行し、最近死亡例は確認されていないので心配は不要である。
過度に恐れることはないが、大人でも感染することがあるので、注意しなければならない。
子どもの場合は重症化することはまれで、1 週間前後で治癒する。
しかし大人の場合は発熱も高く出る傾向にあり、口の中が痛くて何も食べられず、手足にできる水疱がひどい痒みを伴う。
痒みが治まったら、次は箸も持てない、足をついて歩けないほどの強い痛みにとって代わる。
また全身倦怠感と関節痛もあり、というようにインフルエンザやデング熱よりも辛い思いをすることが多いようである。
予防は、インフルエンザ同様、やはり手洗いが最も大事である。
もし自分の子どもが手足口病になったら、自分を守るために、しっかりと手洗いをしよう。
(この記事は2018年12月に発行されたNyoNuym98号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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46:子どもの食物アレルギーの原因と予防法
47:猫に咬まれて失明!
48:麻疹ワクチンをうちましたか?
49:ざんねんな(?)デング熱ワクチン
50:風疹ワクチン「も」うちましたか?
51:手足口病は大人にもうつる!?
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