NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健氏が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法まで「カンボジアにおける医療のよしなしごと」を愉快に綴ります。
今回は、2月から4月にかけて増える食あたりについて。
食あたりに気をつけて!
2 月である。カンボジアでは、これから 4 月にかけてどんどん暑くなってくる。
この時期に増えてくるのが細菌性胃腸炎、いわゆる食あたりだ。
日本人で食あたりになる人は季節を問わないが、この時期はカンボジア人でもあたる人が多い。
今までは比較的涼しくて食べ物もすぐには傷まず、油断しているところに、急に暑くなり想像以上に傷むスピードが速いので、あたってしまう。
つまり、昨日まで「一晩なら」「数時間なら」置いといても腐らなかった物が、暑さで菌が容易に繁殖するようになったため短時間で腐るのである。
食あたりを防ぐには、腐った物を食べないようにするしかない。
特にこの時期は、スーパーマーケットに並んでいる商品や自宅の冷蔵庫に自分で入れた物でさえも、よく吟味しなければならない。
屋台や市場で飲食するのはおすすめしない。
そして、清潔な店構えのレストランで皆と同じ料理をシェアしても、一人だけ明らかに食あたり、というケースも珍しくない。
これは料理や食品には問題がなく、自分の使用した食器に細菌が付着していたということが原因である。
こうなると防ぎようがない。
食事前に皿や箸を紙で拭いている人を見かけるが、「拭かないよりはちょっとマシ」という程度である。
かといって、食事前におもむろに除菌ウェットティッシュを取り出して、自分の食器を拭くというのもなんだかはばかられる。
この時期は、自分の口に入れる物をよく観察して、少しでも異変を感じたら口に入れない、入れてしまった後なら吐き出す、という勇気が必要である。
(この記事は2019年2月に発行されたNyoNuym99号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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