カンボジア生活情報誌NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」
ケン・クリニック院長の奥澤健先生が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。
今回は、「禁煙のススメ」についてです。
禁煙のススメ
現在の私はいわゆる「町医者」だが、元々は呼吸器外科医である。
呼吸器疾患、特に肺がんや自然気胸を専門にしていた。
以前の私は「喫煙者を一人でも少なくする」のが自分の使命の一つであると考え、受け持った患者さんには喫煙の危険性を懇切丁寧に説明した。
禁煙外来まで担当したこともある。
肺がんになった人は、こちらから何も言わなくても皆禁煙するが、それ以外の病気ではタバコをやめられない人が多かった。
中には「タバコをやめるくらいなら死んだ方がマシだ」と言う患者さんもいた。
現在の、肥満や糖尿病の患者さんに低糖質食を指導する方がよほど簡単である。
時代は変わり、日本人男性の喫煙率は2000年に52.5%であったのが、2018年には33.2%に低下した。
われわれの努力がどれほど貢献したのかはわからない。
移りゆく世情の単なる一コマにすぎないのかもしれない。
いずれにしても「喫煙は害でしかない」ということが周知の事実化してきたのは喜ばしいことである。
一方、カンボジア人男性の喫煙率も2000年で56.2%が2018年では37.4%に低下したそうである。
私の感覚では、プノンペンではもっと少ないような気がする。
全国平均だから、地方ではもっと多いのではないかと思う。
喫煙者はそれだけで『慢性気管支炎』という『基礎疾患』を持つことになる。
基礎疾患、特に呼吸器系の病気がある人はコロナが重症化しやすいのも周知の事実。
これを機会に禁煙してはいかがだろうか。
(この記事は2021年2月に発行されたNyoNuym111号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は発行当時の情報です。)
医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。
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