どうしましたか #68 中和抗体とは?
どうしましたか #68 中和抗体とは?
2021.10.18

カンボジア生活情報誌NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健先生が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、最近カンボジアでも続出しているウイルス変異株について紹介します。

 

中和抗体とは?

ウイルスや細菌が人間の体内に侵入すると、免疫が働いて抗体を作り出す。

抗体にはいくつも種類があるが、そのうちの一つである『中和抗体』は、ウイルスのタンパク質に結合して感染や重症化を防ぐ働きがある。

現在、新型コロナウイルス感染症治療として日本などで行われている『抗体カクテル療法』は、2種類の中和抗体を組み合わせて点滴するものである。

この中和抗体のひとつを測定する検査がカンボジアでも可能である。正式な検査名を『SARS-CoV-2-s 抗体検査』という。

2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の原因ウイルスの名称がSARS-CoV-1(これもコロナウイルスCorona Virus)で、今回の新型コロナがSARS-CoV-2 である。『COVID-19』は病名である。

s抗体はスパイクタンパクに対する抗体という意味である。既に感染したことがあるか、あるいはワクチンの効果を調べるために役立つ。

当院では8 月初めから数十人に対して中和抗体検査を行ってきた。

0.8U/ml以上が陽性であるが、中和抗体として充分な値、すなわち感染を防げる値は15U/ml以上、高力価は250U/ml以上である。

中国製ワクチン(Sinovac, Sinopharm)接種者の抗体は25 ~ 50U/ml で、アストラゼネカ社ワクチン接種者の抗体は300 ~ 850U/ml であった。

抗体がどれくらいできるかというのは個人差もあるので、この数十人のデータだけでワクチンの優劣を付けられるわけではない。

効果や副反応も世界中のデータの蓄積と今後の分析を待たなければならない。

だが、抗体は充分な量があっても月日とともに減少していくものなので、どのワクチンでも追加接種を受けた方がよいと考える。

(この記事は2021年10月に発行されたNyoNuym115号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は発行当時の情報です。)

 

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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49:ざんねんな(?)デング熱ワクチン
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51:手足口病は大人にもうつる!?
52:食あたりに気をつけて!
53:クリニック開業とインタビュー
54:狂犬病ワクチンがない!?
55:熱がないのにデング熱
56:問診不可能なカンボジア人患者(前編)
57:問診不可能なカンボジア人患者(後編)
58:開業10周年を迎えて
59:新型コロナウイルス騒動に思う
60:感染症に対するビタミンの不都合な真実。 オーソモレキュラーとは?
61:手洗い習慣の功罪
62:「with コロナ」でいきましょう♪
63:数字に惑わされるな !「ワクチンの有効率」とは?
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65:「トコジラミ」
66:「コロナワクチンをうってきた」
67:「ウイルス変異株は怖いのか?」
68:「中和抗体とは?」

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