どうしましたか #69 コロナの飲み薬、ついに市場へ !?
どうしましたか #69 コロナの飲み薬、ついに市場へ !?
2021.12.17

カンボジア生活情報誌NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健先生が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、コロナの飲み薬について紹介します。

 

コロナの飲み薬、ついに市場へ !?

COVID-19の経口治療薬Molnupiravir(モルヌピラビル)が、11月4日世界で最初に英国で承認された。

実はこの前日の11月3日にカンボジアで緊急使用が認められている。「あれ?じゃあカンボジアが世界初?」と思いきや、これはあくまでも『緊急使用』を認めただけ。正式な販売承認を待たずに緊急使用することを認めた、ということである。

しかしEU が各国に「緊急使用を認める勧告を出した」のが11 月19日であるから、今回のカンボジア政府の動きは、相当早かったと言ってよい。

モルヌピラビルは米製薬大手のメルク社が開発した薬である。当の米国でも正式な承認はまだされていない(11月20日現在)。日本政府は11月10日、160万回分の購入をメルク社と契約した。

他にもオーストラリア、マレーシア、韓国、シンガポールなどが次々に同社と契約している。

価格を調べてみると1人分(1日2カプセル、5 日間で10カプセル)で8万5千円前後とかなり高額だ。これでは途上国は購入できそうにない。

ところがプノンペンの薬局でもう販売されているらしい。値段は1瓶40カプセルで375ドル。つまり1人分10 カプセルだと93.75ドル(約1万700円)である。各国が契約した価格のなんと1/8だ。

安いのはインド製だからである。これは、メルク社がインドの大手後発品メーカー数社に対してライセンスを供与し、それらがインドや他の途上国でモルヌピラビルを販売することができるということによる。

しかし、正規の価格に比べてあまりにも安いと「効果があるのか?」と疑問に思うのも人情。ニセ薬も出回るかもしれない。

感染がどんどん減少している現在、購入を急ぐことはないと考える。

(この記事は2021年12月に発行されたNyoNuym116号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は発行当時の情報です。)

 

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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48:麻疹ワクチンをうちましたか?
49:ざんねんな(?)デング熱ワクチン
50:風疹ワクチン「も」うちましたか?
51:手足口病は大人にもうつる!?
52:食あたりに気をつけて!
53:クリニック開業とインタビュー
54:狂犬病ワクチンがない!?
55:熱がないのにデング熱
56:問診不可能なカンボジア人患者(前編)
57:問診不可能なカンボジア人患者(後編)
58:開業10周年を迎えて
59:新型コロナウイルス騒動に思う
60:感染症に対するビタミンの不都合な真実。 オーソモレキュラーとは?
61:手洗い習慣の功罪
62:「with コロナ」でいきましょう♪
63:数字に惑わされるな !「ワクチンの有効率」とは?
64:「禁煙のススメ」
65:「トコジラミ」
66:「コロナワクチンをうってきた」
67:「ウイルス変異株は怖いのか?」
68:「中和抗体とは?」

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