どうしましたか #75 コレステロールの真実(前編)
どうしましたか #75 コレステロールの真実(前編)
2022.12.17

カンボジア生活情報誌NyoNyum Magazine にて連載している医療コラム「どうしましたか」

ケン・クリニック院長の奥澤健先生が、流行病の対策、風邪やけがの処置方法から、病院での出来事、おすすめのダイエット方法までいろいろな医学トリビアを愉快に綴ります。

今回は、「コレステロールの真実(前編)」についてです。

 

コレステロールの真実(前編)

コレステロールには大きく分けてLDLとHDLがあり、LDL=悪玉、HDL=善玉とされている。「LDLが高いと血液がドロドロになって血管が詰まりやすくなる」というのが一般の日本人の印象であろう。カンボジア人に聞いてもだいたい同じである。いや世界中の人々がそう思っている。一般人だけでなく医師でさえも、そのように考える人が大多数だ。

だから、LDLが少しでも高いと「大変だ!このままでは死ぬぞ!」とばかりにコレステロールを下げる薬を処方する。血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞になりたくないから、患者は言われるがまま素直に薬をのむ。そしてそれがほぼ生涯にわたって続くのである。しかし、これは正しいことなのだろうか?実はこのような薬は、ほとんどの人にとって不要である。基本から検証してみよう。

コレステロールは脂質の一種である。20~30%は食物由来、70~80%は肝臓などで合成される。そして細胞膜、男性ホルモン、女性ホルモン、胆汁酸などの原料として人体にとって必要不可欠なものである。そのままでは血液に溶けないので、LDL(Low Density Lipoprotein)やHDL(High Density Lipoprotein)などのリポタンパクに結合して血液の流れに乗る。

LDLは肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に運ぶ。そこでコレステロールは細胞膜の原料として使われる。HDLは末梢組織で余ったコレステロールを回収して肝臓に運ぶ。つまり、LDLもHDLも必要不可欠なのである。

では「LDLも善玉?」という疑問を持つことであろう。実はLDLには『善玉LDL』と『真の悪玉LDL』がある。詳しくは次号で!

(この記事は2022年12月に発行されたNyoNuym122号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は発行当時の情報です。)

 

コラムニスト:奥澤 健(おくざわ・けん)

医学博士
2010 年 2 月よりプノンペンにケン・クリニックを開業。1963 年生まれ。東京医大卒。キズを早くきれいに治す「湿潤療法」と医学的に正しい 「低糖質ダイエット・健康法」を指南。NyoNyum48号(2010年8月発行)より本コラム連載。

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49:ざんねんな(?)デング熱ワクチン
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51:手足口病は大人にもうつる!?
52:食あたりに気をつけて!
53:クリニック開業とインタビュー
54:狂犬病ワクチンがない!?
55:熱がないのにデング熱
56:問診不可能なカンボジア人患者(前編)
57:問診不可能なカンボジア人患者(後編)
58:開業10周年を迎えて
59:新型コロナウイルス騒動に思う
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61:手洗い習慣の功罪
62:「with コロナ」でいきましょう♪
63:数字に惑わされるな !「ワクチンの有効率」とは?
64:「禁煙のススメ」
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66:「コロナワクチンをうってきた」
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68:「中和抗体とは?」
69:「コロナの飲み薬、ついに市場へ !?」
70:「 オミクロン株は終わりの始まり」
71:「長引く咳「感染後咳嗽」とは?」
72:「 日本の水際対策とは何だったのか?」
73:「 今年還暦トム・クルーズの健康法とは?」
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75:「コレステロールの真実(前編)」

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