JICA海外協力隊員としてクラチェ州で育成年代の子供たちへのサッカー指導を行なっている宮城晃太さん。
年代別の各リーグ戦に参戦しながら、子供たちのサッカーの能力向上だけでなく、サッカーの素晴らしさを伝えることに全力を尽くしている。
クラチェには日本人はほとんどいませんが、彼のまわりにはたくさんのカンボジア人の仲間がおり、彼らとともにサッカーを通して日々、苦悩や喜びを共有し、かけがえのない時間を過ごしているという。
そんな宮城さんのクラチェでの奮闘記をお届け!
第2回目の今回はクラチェU-16、U-18ともに2ndリーグに勝ち進んだのでその様子と、なんとクラチェからある選手が年代別カンボジア代表に召集されたことについて紹介します。
2ndリーグについて
クラチェU-16、U-18ともに1次リーグを突破し、現在2ndリーグを戦っているので紹介します。
<U-16 2ndリーグ試合日程と結果>
2/23 クラチェ 2 -3 コンポンチャム(負)
3/8 クラチェ3-1スヴァイリエン(勝)
4/22 クラチェ-ストゥントゥレン
<U-18 2nd リーグ試合日程>
参加チーム:クラチェ / コンポンチャム / ストゥントゥレン / プレイベン (4チーム)
3/15 クラチェ-コンポンチャム
3/29 クラチェ-ストゥントゥレン
4/12 クラチェ-プレイベン
U-16チームは残念ながら初戦でコンポンチャムと対戦し、2-3で惜敗してしまいました。
続く、第2戦のスヴァイリエン戦は退場者を出して苦しんだものの、3-1で見事勝利。
負ければ敗退でしたが、選手たちが頑張ってくれました。
上位2チームが決勝トーナメントに進出のためには最終戦のストゥントゥレン戦は絶対に落とせません。
一方のU-18チームのほうは3/15が初戦です。勝つために今から良い準備をしていきたいと思います。
クラチェからカンボジア代表に!
題名の通り、昨年までクラチェアカデミーに所属していたKoeut pich選手がU- 19カンボジア代表に選出されました!
2月24日から日本の鹿児島県で行われるJENESYS 2019 Japan – ASEAN U19 Men’s football tournamentに出場しました。
僕の1つの目標であった、「クラチェからカンボジア代表を」と言う目標を成し遂げる事が出来ました!!
もちろん、僕のおかげで彼がカンボジア代表になった訳ではなく、彼自身、僕がクラチェに赴任した時から、僕から色んなものを吸収しようとしていた事も彼の行動を見ていて感じましたし、練習前、練習後も2人でボールを蹴ったりしていました。
クラチェのクラチェFC(社会人チーム)でも一緒に試合に出たり、フットサルを一緒にしたりなど、本当にサッカーが好きで頑張っている姿が印象的でした。
カンボジアに来る前は、まさかクラチェにこんな選手がいるなど思った事もありません。
正直、ボールすらまともに蹴れない選手しかいないと思っていました。笑
だがしかし、クラチェに光る原石はいました。
そんな彼が、全寮制のバティアカデミーに行くことになり、寂しい反面、嬉しい気持ちで送り出したのを覚えています。
現在、U-18カンボジア代表監督を務める行徳さんも良い選手だ。期待できそうと言う事も言っていたので、本当に送り出してよかったなと思っています。
また、これからもカンボジア代表に必要になる選手を育てながら、良い選手をバティアカデミーや、カンボジアリーグに輩出できるように選手育成の活動を続けて行きたいと思っています。
バティアカデミーとは?
バティアカデミー(Bati Academy)とは、カンボジアサッカー協会が管轄し、各年代別の優秀な人材が集まるアカデミーです。
プノンペン中心部から南に約35kmのトンレバティにあるバティフットボールセンターを中心に活動しています。
日本でいうJFAアカデミー福島のような施設です。全寮制で、U-15、U-18の2カテゴリーがあり、学校、食事、寮、練習場が設備されています。
寮の目の前には、芝生のグランドがあり、毎日サッカーに集中できる環境です。
この、バティアカデミーは実質的には、U-15、U-18年代別代表になる位置付けです。
U-18チームに関しては、カンボジア国内最高峰のメトフォンカンボジアリーグ(日本でいうJ1)にも参戦しています。
普段、なかなか外国人選手と試合をする事はないので、選手はレベルの高い試合を経験できる良い環境にあります。
バティアカデミーに選ばれるには?
カンボジア各州にアカデミーが設立されています。
その中から、州のアカデミースタッフが選手を数名ピックアップして選考会が行われます。
そこで、バティアカデミーのスタッフ、アカデミーダイレクターが選考をし、合格すれば入る事が出来ます。
日本では地区トレセン→47都道府県トレセン→9地域トレセン→ナショナルトレセン→世代別の日本代表、このような段階で代表に選ばれるまで壁がいくつも現れます。
そう考えるとカンボジアは、25州トレセン→ナショナルトレセン→世代別のカンボジア代表と段階が少ないので、代表に入るチャンスは全員にあると思うし、各州のアカデミーの中である程度うまい選手だとすぐチャンスを掴める環境にあるのが現状です。
今回、U-19代表選出された選手がバティアカデミーに入れた経緯は、バティアカデミーが入れ替えの時期に何人かU-18から抜けるから新しい選手を見てみたいと言う事で、推薦して見てもらう事になりました。
この時はセレクションと言う形で、バティに行き、練習を行い無事選ばれたと言う経緯です。
余談ですが、、、、、
バティアカデミーに選ばれてから、1週間もしていない頃に、彼から泣きながら電話がきました。笑
内容は、勉強についていけない、サッカーについていけない、家族が寂しいと言う理由でした。
彼自身、初めて親元を離れ、違う環境で生活するのは初めてで、行く前から俺は無理だと言うことも言っていました。
まさか、1週間で泣きながら『明日クラチェに帰る』と、電話が来るとは思いませんでした。
そんな彼が、今やU-19カンボジア代表になり、日本に行き、カンボジアという国を背負い戦っている姿を見ると、可能性は無限大だなと思いました。
カンボジア代表に選ばれたと聞いたときは、泣きそうなくらい嬉しかったですね。
クラチェに光る原石はまだいる!?
U-19カンボジア代表に選出された事は、報告しましたが、まだまだクラチェには、光る原石がいるんです。
現時点でバティアカデミーU-15には、クラチェから3人の選手が行っています。
これでクラチェからはU-15に3人、U-18に1人、合計4人の選手が、バティアカデミー在籍しています。
この4人という数字は実はほかのどの州よりも多く、クラチェが最も選手を輩出しているんです。
バティアカデミーのスタッフからもクラチェは良い選手がいると一目置かれています。
その原石を磨き上げるのが僕の役目でもあり、バティアカデミーに輩出する事で、その選手がもっと伸び、将来カンボジア代表になることを願っています。
本当に、ある意味原石探しですよね。
JICA海外協力隊員 春募集
今回、2/20〜3/30の間に、春募集が行われています。
そこで、カンボジアのサッカー隊員の要請がなんと、3件出ています。
※詳細は上記をクリック
カンボジアには、各州にアカデミーが設立されていますが、現在アカデミーにJICAのボランティアが入り、現地のスタッフと一緒に活動しているのは、クラチェアカデミーしかありません。
今のところ、僕がカンボジアサッカーで唯一の隊員です。 (今シアヌーク州で、体育隊員が活動の合間を見つけ、キーパーコーチとして活動してます。)
現時点で、プレアビヒア州、コンポンチャム州は、次の派遣が決まっています。
これからサッカー隊員が地方のアカデミーに入って行き、現地のスタッフと一緒にサッカーのレベルアップ向上を目指して活動できます!
僕も日本でしかサッカーを教えられないと思っていた人間ですが、JICAを通して、こうして世界でもサッカーを教えられるという事を実感しています。
1つの勇気、1つの行動で、未来が変わります!!
是非、自分の力を信じて応募してみて下さい!
そして、僕の任地のクラチェへ!!笑
(写真提供:宮城晃太)
JICA海外協力隊員(クラチェ州)
1993年生まれ。沖縄県出身。大阪産業大学卒業後、2016年に地元のFC琉球(当時J3)に入団。同年限りで引退し、翌年からFC琉球アカデミーコーチを務めた。現役時代はMF。
SNS:Twitter
宮城さんのインタビュー記事はこちら
第1回目の記事はこちら
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