人は食うために働く。カンボジア人のそんな姿を切り取るニョニョムでおなじみのコーナー「カーロッシー(食いぶち探し)」。
今回はプノンペンでモバイルショップの経営をしているスン・チャンヘーンさん。
カーロッシーとは
生活情報誌NyoNyumで長年人気を誇るコーナー「カーロッシー」。人は何のために働くのか。
カンボジアの人々の答えは明快、「食うため」。
彼らは、働くことを「カーロッシー(食いぶち探し)」と呼ぶ。
汗と涙を流しながらも、日々淡々と行われるその営みを紹介する。
消費者のもとにお手頃の日用雑貨を届け続けたい!
プレイヴェン州出身のスン・チャンヘーンさん(43)は、プノンペンでモバイルショップの経営をしている。
「以前は建設現場の職人だったんですが、けがをして膝を痛めてしまい建設業に戻れなくなり、このモバイルショップをやってみようと思い立ったんです」。
最初は故郷で始めたというこの商売。初期投資は中古ルモックの購入、商品の仕入れなどで約3000ドル。
しかし地方都市では思うように売れず、実入りが少なかった。
プノンペンだったらもっと売れるのではないかと思い、夫婦 2人で上京を決めたという。
それから 2年。
「主に衣類、ベルト、帽子、靴、ボディーソープ、シャンプー、洗剤、化粧品などを売っています。場所はサェン・ソック区の建設現場を回ることが多いですね。建設労働者の給料日によく売れますよ。給料をもらった後、彼らは生活費や仕送りのお金を除いて、小遣いとして使えるお金で流行りのシャツやジーンズなど自分の嗜好品を買ってくれるので」と語るチャンヘーンさん。
だが、労働者の財布のひもはそれほど緩くはないらしい。
「彼らの小遣いには限りがありますから。売れる時は 1日に 10万リエルの売上がありますが、まったく売れない日はその日のご飯代さえも出せないときもあります」
また、モバイルショップは雨が天敵だ。雨が降ると、商品が濡れないように店をたたまなければならないし、客も買い物どころではない。
それに最近は商売敵も増えてきた。コロナが落ち着きを見せたとはいえ、以前と比べるとそれほど売上は良くないと感じているという。
「良い点もあれば悪い点もあります。市場で場所を借りて商売をするよりは、場所代もいりませんし売上もそれほどないので課税もされません。でも、ガソリン代がかかる点では、市場の場所代の経費と同じかもしれませんね」
「市場で売られている商品と比べても、物にもよりますが私が扱っている商品の価格は同じかちょっと安いくらいだと思います。お客様を獲得するために、なるべく安く仕入れて市場よりも安く商品を提供できるよう努力しています」。
子どもを田舎の親戚に預け、妻と 2人で田舎から出てきたチャンヘーンさん。
プノンペンに住むところはなく、街の中の空いたスペースにルモックを駐車させてもらい、ルモックの中で夫婦 2人で寝泊まりをしているという。
しばらくはプノンペンでこの商売を続けていくつもりだと語ってくれた。
過去のカーロッシーはこちら
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