【”カンボジア人のお仕事紹介”カーロッシー66】カンボジアの自然の恵みを享受。伝統的な酒造りを守りたい
【”カンボジア人のお仕事紹介”カーロッシー66】カンボジアの自然の恵みを享受。伝統的な酒造りを守りたい
2023.07.17

人は食うために働く。カンボジア人のそんな姿を切り取るニョニョムでおなじみのコーナー「カーロッシー(食いぶち探し)」。

コンポンチャム州出身で、プノンペン都の西南部にあるコンボ―ル区のプレイロギェン村でヤシ酒の製造・販売をするボウ・スレイニッチさん(31)。

ヤシ酒はだんだんカンボジアでも飲まれなくなっており、ヤシ酒そのものを知っている若者の数も少なくなっています。そんな状況にある、ヤシ酒販売の現状をレポートします。

 

カーロッシーとは

生活情報誌NyoNyumで長年人気を誇るコーナー「カーロッシー」。

人は何のために働くのか。

カンボジアの人々の答えは明快、「食うため」。

彼らは、働くことを「カーロッシー(食いぶち探し)」と呼ぶ。

汗と涙を流しながらも、日々淡々と行われるその営みを紹介する。

※カーロッシーとは
カーは動詞を名詞化
ロッは「探す」
シーは「食う」

 

カンボジアの自然の恵みを享受。伝統的な酒造りを守りたい

笑顔が溢れる店主のスレイ二ッチさん

「ヤシ砂糖は今も人気がありますが、ヤシ酒を飲む人の数はどんどん減っています。ビールの影響もありますね。若い世代にはヤシ酒自体が知られていないことも」とヤシ酒の存在感が薄れていく現状を心配する、ヤシ酒の製造・販売を行うスレイ二ッチさん。

スレイ二ッチさんの家は代々ヤシ酒販売をしてきた。自分の家族はもちろん、夫の家族も代々ヤシ酒やヤシ砂糖の販売をしてきたという。今もカンボジアの伝統酒であるヤシ酒とヤシの木でできる農産物を販売して暮らしている。

固い黒っぽい丸いヤシの実の皮を切ると中に白い果肉が(そのまま食べるか、氷と練乳をかけて)デザートとして食べられている。

ヤシ酒の愛飲家が減る一方で、懐かしさからわざわざヤシ酒を飲みに来てくれたり、ヤシの実や砂糖を買いにプノンペンからやってくる客もいるという。

香りが良くコクのあるヤシ砂糖の需要はまだまだあるが、ヤシ酒はどんどん飲む人自体が減っている。

しかし田舎出身の男性には懐かしさや馴染みもあり、よく飲みに来てくれるそうだ。そのおかげで、スレイ二ッチさんは1日7万リエル(20ドル弱)程の収入が得られている。

ヤシ酒を飲みに来てくれるお客さんに笑顔でもてなすスレイ二ッチさん。美味しいヤシ酒の作り方のコツをちょっと教えてくれた。「ヤシの樹液を木から取ったら、何も入れずそのまま置いておくと自然に発酵してヤシ酒になります。でも、樹皮や花など10種類以上の材料を入れて発酵させると、より美味しいヤシ酒ができるんですよ」。

ヤシ酒には2種類ある。若いヤシ酒と熟成したヤシ酒で、前者は甘酸っぱい感じだが、後者は酸っぱみと苦みが強い。

ビールよりも手頃な価格で販売している。1 リットル 3,000 リエル。田舎育ちの人にとって懐かしい味のヤシ酒の存在はありがたい

田舎に行くと至るところに背が高い砂糖ヤシの木がたくさん生えている。砂糖ヤシの木はカンボジア人の生活に欠かせない植物であり、国のシンボルにもなっている。

樹木はボートや食器などに加工され、葉はカンボジアの伝統家屋の屋根や壁に利用できる。実も食べられるし、樹液もたくさん取れる。ヤシの樹液は一年中取れるため、ヤシ酒とヤシ砂糖はいつでも製造できる。

しかし雨季にはヤシ酒の製造はあまり適していないそうだ。雨でヤシの樹液の質が悪くなるからだ。また、雨季はヤシの木が滑りやすいので登るのも困難だという。

竹筒が店舗前にすらりにおいてあったら、ヤシ酒販売をしているという兆しを出している。

カンボジアの伝統を守りながら、そして自然の恵みを享受しながら行うこのビジネスは、エコでありサステナブルだ。

「実はこの商売は原価があまりかからないのです。そして、都会の人より地方の人に受け入れられているので、お洒落なお店にする必要もありません。この店のような素朴な雰囲気が好まれています」

種類豊富なビールに押されて、ヤシ酒は今後どうなっていくのだろうか。

「ビールとの競争に耐えられるかどうかはわかりませんが、ヤシ酒を好きでいてくれるカンボジア人はまだまだいます。私たちの商品を求めるお客様がいる限り、この商売をやめるつもりはありません」

スレイニッチさんのお店でヤシ酒を注文すると、ヤシ酒によく合うおつまみも楽しめる(カエルと魚のから揚げ、牛肉の干し物が定番のつまみとしてヤシ酒によく合うそうだ。)

 

過去のカーロッシーはこちら

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連載59:

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