NyoNyumの発行元のカンボジア情報サービス(CJS: Cambodia Joho Service inc.)は通訳・翻訳サービスも展開しています。
そのサービスとクメール語(カンボジア語)について多くの人に知ってもらおうと、クメール語の簡易講座を始めました。
CJSの日本語-クメール語(カンボジア語)通訳・翻訳士が監修した伝わりやすいカタカナクメール語を、テーマごとにお届けしていきます。
今回は、動詞、助動詞、疑問詞を紹介します。
基本のクメール語(動詞と助動詞と疑問詞)
前回は文法ルールについて紹介しました。大まかに3つのルールがありました。
1: 語順は 主語 + 述語 + 目的語
英語と同じ「 私 食べる ご飯 」 が基本の形です。
2: 後ろから修飾する
言葉の説明は後ろに続いていきます。
例: 魚 白い 大きい (大きい白い魚)
例: 食べる ゆっくり (ゆっくりたべる)
3: 述語と目的語は切り離せない
「ゆっくり」は目的語(なにかされる物: 大きい魚)の後に来ます。
例: 私 食べる 魚 大きい ゆっくり (私は 大きい魚を ゆっくり食べる)
今回は、動詞とそれを飾り付ける助動詞、疑問形を作る疑問詞を紹介します。
今回までに出てきた言葉を組み合わせるとかなり多くの表現が可能になります。
助動詞について
助動詞は動詞に意味を付け足す言葉です。否定をしたり、過去、未来などの意味を付け足したりします。
日本語の場合は、動詞「食べる」に可能を表す助動詞「られる」を付け足すと「食べられる」、使役を表す助動詞「させる」だと「食べさせる」というようになります。クメール語も同じです。
この付け足す言葉によって動詞の意味が変化し、いろいろな表現ができるようになります。
日本語や英語では、「食べる」 > 「食べた」のように動詞の変化によって過去を表現しますが、クメール語では動詞は変化しませんので、言葉を付け足すだけです。
否定:食べません
否定を表す方法は2種類あります。
1 「ムン」を動詞の前に、文末に「テー」を置く
例: クニョム ムン ニャム バーィ テー
( 私 ムン 食べる ご飯 テー )
2: 「オッ」を動詞の前につける
例: クニョム オッ ティン チェーク ニッ
( 私 オッ 買う ばなな この )
疑問:行きますか?
疑問を表す言葉は「タゥ」と「テー」です。この2つを文章のはじめと最後に置きます。
「タゥ」は使われないことが多く、口語では「オッ」に置き換わることもあります。
例: タゥ ネアック タウ プサー テー
(タゥ あなた 行く 市場 テー)
可能:話すことができます
能力的にできる、できないを表すときには「チェッ」をつけます。
例: クニョム チェッ ニーイェイ ピアサー クマエ
(私 チェッ 話す 言葉 カンボジア)
可能の否定:話すことができません
できないときは、ルール通りに「ムン」「テー」か「オッ」を付けます。
例: クニョム ムン チェッ ニーイェイ ピアサー クマエ テー
例: クニョム オッ チェッ ニーイェイ ピアサー クマエ
未来意志:行くつもり
未来の意志や予定を言う場合には「ヌン」を付けます。
例: クニョム ヌン タウ ポーチョーニアターン
( 私 ヌン 行く レストラン )
過去完了:もう食べた
「さっきご飯を食べた」というような過去を表す表現には「ハウイ」をつけます。
例: クニョム ニャム バーイ ハウイ
( 私 食べる ご飯 ハウイ )
おまけ:
ニャム ハウイの返事
食べた時の返事は「ハウイ ハウイ」と2回言うことが多いですが、食べてないとき「まだ」という意味の「ナウ」
過去完了の疑問:もうご飯食べた?
「ご飯もう食べた?」のように過去完了を疑問形にするには「ハウイ」のあとに「ルー ナウ」をつけます。
口語的には「ルー」省略されて「ナウ」になることもあります。
例: ネアック ニャム バーイ ハウイ ルーナウ
( あなた 食べる ご飯 ハウイ ルーナウ )
過去完了の否定:まだ食べてない
過去完了の否定は少し特殊で、「ムン」「トアン」「テー」を使います。
例: クニョム ムン トアン ニャム バーイ テー
( 私 ムン トアン 食べる ご飯 テー )
疑問詞について
疑問詞は、「なに」、「どこ」などものや場所について尋ねるのに使われる言葉です。
使い方は「聞きたい箇所を疑問詞に入れ替え、「タゥ」をつける」です。答えてほしい文章の言葉をいれかえて、先頭に「タゥ」を付けます。例を見てみましょう。
普通の文:
ネアック ニャム バーイ
( あなた 食べる ご飯 )
疑問詞疑問文:
タゥ ネアック ニャム アヴェイ テー
( タゥ あなた 食べる なに テー )
なに: アイ
なにを食べるの?何をするの?これは何?など、なんでも尋ねることができる言葉は「アイ」です。
文語的には「アヴァイ」です。
例: タゥ ネアック リエン アイ
( タゥ あなた 勉強する なに )
どこ: ナー
場所を聞くときに使える言葉は「ナー」です。
例: タゥ ネアック タウ ナー
( タゥ あなた 行く どこ )
例: タゥ ネアック ナウ ナー
( タゥ あなた ~の場所 どこ = あなたはどこにいるの?)
いつ: ペールナー
出発時間などを聞くのに使う言葉は「ペールナー」です。
例: タゥ ネアック タウ ペールナー
( タゥ あなた 行く いつ )
どうやって: ヤーン マイッ
移動手段や、作り方などの方法を聞く言葉は「ヤーン マイッ」です。
例: タゥ ネアック タウ ヤーン マイッ
( タゥ あなた 行く どうやって)
だれ: ネアックナー
誰がつくったの?誰が行くの?など主語を聞くことができる言葉は「ネアックナー」です。
例: タゥ ネアックナー タウ プロリァン-ユンホァ
( タゥ 誰 行く 空港 )
なぜ: ハエット-アイ
理由を聞くことができる言葉は「ハエット-アイ」です。文語的には「ハエット-アヴァイ」です。
これは「タゥ」の代わりに文章の先頭に置きます。
例: ハエット-アイ ネアック タウ モンティぺート
( なぜ あなた 行く 病院 )
動詞について
これまでも「ニャム」、「タウ」などの動詞を紹介してきましたが、ここでは「特別な動詞」1つと「基本的な動詞」をいくつか紹介します。
これまでの、代名詞、名詞、助動詞と合わせて例を作ってみてください。
特別な動詞: クーチァ
英語の「be動詞」のような「ものの状態や、名前を表すときに使う動詞」というのがクメール語にもあります。
物や場所の名前、様子についてしゃべるときには特別な動詞「クーチァ」使います。
例: ニッ クーチァ チェーク
( これ クーチァ バナナ = これはバナナ )
例: チェーク クーチァ ルーン
( バナナ クーチア 黄色い = バナナは黄色い )
ただし、場所に関していうときは「クー」と短くなります。
例: ティ-ニッ クー サラリエン
( ここ クー 学校 = ここは学校 )
疑問形や疑問詞疑問形はこのようになります。
例: タゥ ニッ クーチァ スヴァイ テー
( タゥ これ クーチァ マンゴー テー = これはマンゴー?)
例: タゥ ニッ クーチァ アヴェイ
( タゥ これ クーチァ なに = これは何? )
欲しい: チョン バーン
例: クニョム チョン-バーン スラップリィァ
( 私 ほしい スプーン )
この動詞は、助動詞の働きもします。「食べたい」「行きたい」というときは「チョン」を動詞の前につけます。
例: クニョム チョン ニャム ミー
( 私 ~したい 食べる 麺 = 私は麺を食べたい)
ある・持っている: ミエン
レストランやお店などで物があるかどうかを聞いたり、自身の所有について表します。
例: クニョム ミエン タック
( 私 持っている 水 )
例: オッ ミエン チョンカッ
( オッ ある 箸 = 箸がない )
例: タゥ ミエン バーイ-サイッ-チュルー テー
( タゥ ある バーイ-サイッ-チュルー(料理名) テー = バーイ-サイッ-チュルーありますか? )
来る: マオ
文語的には「モッ(ク)」となります。
例: コァット ムン モォ カリーヤライ テー
( 彼 ムン 来る オフィス テー = 彼はオフィスに来ない)
「から来た」というときは「から」を表す「ピー」を付けます。
例: クニョム モォ ピー スロック チャポン
( 私 来る から 国 日本 = 私は日本から来た )
住む: ロッ-ナウ
例: アウポ(ク) ロッ-ナウ スロック チャポン
( お父さん 住む 国 日本 = お父さんは日本に住んでいる)
好き: チョールチェッ(ト)
例: クニョム チョールチェッ(ト) トレイ
( 私 好き 魚 )
大好き: スロラン
例: タゥ ネアック スロラン カンプチア
( タゥ あなた 大好き カンボジア )
必要とする: トロヴーカー
例: クニョム ムン トロヴーカー トッ-トッ テー
( 私 ムン 必要とする トゥクトゥク テー = トゥクトゥクは要らない )
買う: テンニュ
例: クニョム テンニュ ニッ
( 私 買う これ = 私はこれを買います )
あげる: アオィ
例: クニョム アオィ スヴァイ パァェム
( 私 あげる マンゴー 甘い )
働く: トゥヴーカー
例: タゥ ネアック トゥヴーカー アイ
( タゥ あなた トゥヴーカー なに = あなたは何の仕事をしますか? )
学ぶ: リエン
例: クニョム チョン リエン ピアサー クマエ
( 私 ~をしたい 学ぶ 語 クメール = 私はクメール語を勉強したいです )
読む: アーン
例: クニョム チョールチェッ(ト) アーン シゥパウ
( 私 好き 読む 本 = 私は本を読むことが好きです )
書く: ソーセー
例: クニョム オッ チェッ ソーセー ピアサー クマエ
( 私 オッ 可能 書く 語 クメール = 私はクメール語を書くことができない )
見る: クーニュ
例: クニョム クーニュ ネアック ナウ プサー
( 私 見る あなた の場所で 市場 = 私はあなたを市場で見た)
「ナウ」は動作があった場所を表すときに使います。
例: ナウ チャポン ( 日本で )
わかる: ヨール
「説明されたことを理解する、意味がわかった」という言葉です。
例: クニョム オッ ヨール
( 私 オッ わかる = わからない )
知っている: スコァル
会ったことのある人、行ったことのある場所など物や人などを知っている時に使います。
例: クニョム スコァル プテァ ネアック
( 私 知っている 家 あなた = 私はあなたの家を知っている )
知っている: ダン
物の特徴や、人の能力や細かな情報などを知っているというときに使います。
例: クニョム ダン ネアック チェッ ピアサー チャポン
( 私 知っている あなた 可能 語 日本 = 私はあなたが日本語ができると知っています )
例: クニョム ダン チェーク ニッ クーチァ オッ チュガ二
( 私 知っている バナナ この クーチア オッ 美味しい = 私はこのバナナが美味しくないと知っている)
クメール語講座一覧
1: 数詞と形容詞
2: 数詞を使った表現
3: 文法ルールと単語
4: (本記事) 動詞と助動詞と疑問詞
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