12月8日、日本国内で数々のベストセラー本を手がけてきた幻冬舎の編集者・箕輪 厚介さんと、カンボジアで活動している日系企業2社との対談イベントがプノンペンのHotel Corduroyで開催されました。
この対談イベントは箕輪さんが主催するオンラインサロン「箕輪編集室」のイベント「ミノンペンフェス」として開催され、当日はプノンペン在住日本人はじめ、日本や周辺国からきた方など、70名が参加しました。
箕輪さんは現在、NyoNyumでも記事連載中で、「あったかい居場所を世界中につくる」をモットーにカンボジアやアジア各国で活動してるコミュニティ「トークンハウス」の出資者でもあり、今回はそのトークンハウスCEOで箕輪編集室アジアチームリーダーでもあるゴーゴーケンゴさんの協力もあり、この「ミノンペンフェス」が実現したようです。(ゴーゴーケンゴさんはミノンペンフェスの主催者でもあります)
はたしてどんなイベントだったのか、その内容を紹介したいと思います。
箕輪 厚介さんと箕輪編集室について
箕輪 厚介(みのわこうすけ)
幻冬舎 編集者。オンラインサロン「箕輪編集室」主宰。株式会社エクソダス取締役。合同会社波の上商店 代表。 株式会社CAMPFIRE チェアマン。2010年に双葉社入社、広告営業やイベント運営などに携わった後、編集部に異動。2015年に幻冬舎に移り、編集者として働きながら、東洋経済オンラインやアドタイで自身のコラムを持ち、オンラインサロン「箕輪編集室」を主宰。堀江貴文イノベーション大学校で特任教授も務める。2017年10月、自身の会社として波の上商店を設立。2018年1月末、CAMPFIREと幻冬舎の共同出資会社、エクソダスの取締役に就任する。 2018年8月には自著『死ぬこと以外かすり傷』を出版、13万部を突破した。 2017年NewsPicks Bookを創刊し編集長に。 わずか2年半で累計222万部を突破。 国内最大級のオンラインサロン・箕輪編集室を主催。
箕輪編集室とは
箕輪厚介さんによるオンラインサロンで現在、1300名以上のメンバーが在籍。主な活動は動画・写真・デザイン・クリエイティブ制作はじめ、日本トップのゲストを招くイベントなどのマーケティングからプロデュース、制作、そしてSNSを連動したプロモーションまで総合的に手掛けているクリエイター集団。※箕輪編集室の詳細はこちら
イベントの様子
2日間にわたり、箕輪編集室の主催で行なわれた「ミノンペンフェス」。
1日目の昼間はプノンペンから北へ1時間ほどにある古都ウドンに病院を建設し、子供の治療を行なうなど活動しているジャパンハートさんの施設を見学、2日目はカンボジアの日系サッカークラブ・ソルティーロアンコールFCの選手とのフットサル対決を行ないました。
1日目の夜に行なわれたトークセッションは、各登壇者が今カンボジアでやっていることの概要と課題を説明しながら、箕輪さんにそれを解決するためのカギを話してもらうというスタイル。
超満員の会場では箕輪さんが規格外のことを話すたびに会場がどっと沸き、見ている人たちの心をがっちりとつかんでいるのが印象的でした。
登壇者1人目:ソルティーロアンコールFC・影山慎太郎さん
現役のプロサッカー選手でもある本田圭佑選手が、カンボジア代表の実質的な監督を務めているという話は日本でもたびたび取り上げられています。
実は本田選手はカンボジア1部リーグに所属しているソルティーロアンコールFCの共同オーナーを務めています。
そんなソルティーロを立ち上げたのは2016年末。
設立当初から関わっているチームマネージャー・影山慎太郎さん。
元々は現クラブ代表の辻井翔吾さんと大学時代の同期で、以前からサッカー業界で働きたいと熱意を持っていた影山さんの想いを知っていた辻井さんが一緒にやらないかと声をかけました。
クラブの立ち上げた経緯についてはこちらの記事を参考に。
2017年にカンボジア2部リーグに参入。見事1年で1部リーグに昇格し、昨年は10位、そして今年は14クラブ中8位。
日本では「本田選手が運営する日本の本社が資金を出して運営している」と思われがちですが、実は全て自分たちスタッフでスポンサーを探してきて、賄う独立採算制で運営しています。
その上、他のクラブに比べて資金面や環境面で劣ることもありますが、クラブとしての目標はリーグ優勝はもちろんのこと、その先にある「カンボジアサッカーの底上げ」と、「サッカーを通して、多くの人々に夢を持つ大切さを伝える」ことだという。
そんなチームを見守り続けている影山さんのお悩みは「日本でのクラブの認知度が低い」ということ。
予算もリソースも限られている中でどうやったら日本で認知度が上がり、応援してもらえるようになるのか。
それに対して箕輪さんは「スポーツとコミュニティは相性が非常に良い、何かが勝負しているのを追体験できるのが一番のコンテンツ」と語り、その場でなんと、クラブをスポンサードすることが決定!
続けて箕輪さんは、
「あらゆるビジネスが人の思いを根底にしないと成り立たなくなってる。スポーツチームはそれが適してる」
「スポーツチームである以上、もちろん結果も大事だけど、頑張ってる生き様を見せれば、スポンサーもそういう部分に出資するのではと」
「クラブが成長していく過程を皆で共有しながら編集室のメンバーがグッズ、デザインなど自分の得意分野を楽しみながら一緒に成長していくことに魅力を感じる」
と持論を展開。
そして、それがクラブの目標でもある「サッカーを通して、多くの人々に夢を持つ大切さを伝える」に繋がってくるのではと話しました。
また、イングランドプレミアリーグとJリーグ、カンボジアリーグの収入構造の違いを説明した際には、いまや完全に終わったとされた総合格闘技RIZINの現役選手ながらYoutuberとしてチャンネル登録者50万人を擁する朝倉未来選手の事例をもとに、これまでスポーツ業界になかった新たな展開を紹介。
それをふまえて、「今は会社よりも個人が強い時代。選手一人一人がフォロワーを抱えて、チームよりも個人が強く、その集合体のモデルが芽生え始めてる。これは邪道とは思われるかもしれないが逆にチャンス。こういう発想をするときに大事なのがゼロベースで考えることが大事」
こういったSNSでの発信によってより多くの人に選手個人の魅力を知ってもらうことでファンの増加にも繋がり、それが人間味のある愛される集合体になるのではとアドバイスされていました。
その後、翌日行われたソルティーロの選手たちとのフットサルでも早速、箕輪編集室で何ができるかを意見交換する場面も見られるなど、今後の展開が楽しみです。
登壇者2人目:ラストマイルワークス・小林雄さん
登壇者2人目は現地で仮想空間共有プラットフォーム(VR)事業を手掛ける小林雄さん。新卒でカンボジア移住し、ベンチャー企業で3年間働いたのちにラストマイルワークスを立ち上げたという。
ラストマイルワークスの意味は、「ラストマイル(僻地)」と「ワークス(仕事)」。
カンボジアの深刻な問題のひとつである、地方とプノンペンを中心とする都市部との格差問題を解決しようと当初はテクノロジーを駆使し、日本とカンボジアの僻地を繋いで、雇用を創出するためにクラウドソーシングのカンボジア版を目指しました。
しかし雇用は作れるものの、クラウドワークスは本来、費用が安ければ安いほどいいという仕組みなので、どんどん安いほうに流れてしまう薄利多売型のモデルになってしまい、なかなか現地の人々の給料を上げることは厳しかったといいます。
現在は主に日本の不動産向けに仮想空間共有プラットフォーム(VR)を提供するサービスを行なっており、ゼロからカンボジア人のエンジニアを育成して、雇用創出を生み出しているところだといいます。
また、それと同時並行でカンボジアの子供向けのワークショップを開催しているようです。
「カンボジアでは貧しさのあまり、今を生きるのに精いっぱいで、未来を描くことができない人が多い。そこで自分たちが持っている武器を駆使して、例えば子供達に未来のプノンペンを描いてもらい、それをVRで見せるというような子供たちの未来に繋がる画期的なワークショップを開催している」といいます。
こういった活動を通して小林さんはカンボジアで「クリエイティブを通じて雇用を増やしたい」と話しました。
そんな小林さんが、悩んでいることは「日本から3Dドームを持ってきたのはいいものの、何にどう使おうか」ということと、「カンボジア×テクノロジー」で何かアイディアがあれば今後に生かしたいということ。
箕輪さんは「テクノロジー×何かと考えた時にありがちなのはテクノロジー優位で考えてしまうと、『テクノロジーを使ってこんな面白いことやりました』というような面白さに走ってしまう。ブランディングという意味ではいいかもしれないが、持続性がない」
「猛烈な需要があってその課題を解決するためにテクノロジーがあるかか、あとは自分の中での強烈な現体験から紐づく猛烈な想い、この2つのどちらかがあるかどうかが重要。テクノロジーで表現しようとしはじめた時に、それを頭の中で持ってプロセスを踏んでいくと、差別化できるし、継続できると思う」と話した。
さらに箕輪さんは起業家や大学生に本を書くつもりで「はじめに」だけでも書いてみるように勧めているようで、その極意を語ってもらい、その後の質疑応答の際にも会場にいた人たちからここの部分について質問がきていました。
その時の様子は箕輪編集室の方々がまとめていたこちらを参考ください。minohen.com
箕輪編集室の今後の展開について
同イベントの翌日、箕輪さんに箕輪編集室の今後のアジアでの展開についてお話していただきました。
元々持っていたビジョンは、「これから東南アジアに来る日本人がガンガン増える、そうなった時にコミュニティが必要」と感じていました。
日本の地方やアジアの日本人コミュニティは閉塞的になりがちなので、そこには仕事とは関係ない遊びのようなコミュニティの需要があると見込んでいて、ミノヘン(箕輪編集室)がアジアでそういう存在になればなれればと思っていました。
海外やカンボジアなど来るきっかけはなんでもいいと思っていて、仮にそこにミノヘンがあることで、価値観が近い人たちが集まって、ある程度信頼できるコミュニティができて、同じ価値観の中で100人、200人と活性化していったらいいなと。
例えば、これからカンボジアで働きたいという人にも、ミノヘンに入ったら最初の肝心な人脈を紹介、美味しいレストランや日常のサポートをしてもらえる、というふうになったらもっとアジアに進出しやすくなる
と最初はざっくりそういう展望があって、それをブレイクさせるためにはどうすればいいかとずっと考えていました。
そして、今回カンボジアに来てみて思ったのは、「思ったよりも日本人が多い。しかも若い人がいて、価値観が似ている」ということ。
これいけるなという気がしました。
現在のミノヘンメンバーは少人数ではあるがシンガポール、カンボジア、マレーシアなどにもいるようです。
でも、現地の物価で考えると日本での月会費6000円は高いので、それを1000~1500円にして、できるだけ負担がないようにして、コミュニティ形成して、「アジアで働くなまずはらミノヘン入ってみよう」みたいな形にするのが理想ですね。
それで1年に1回は僕が現地に行ってイベントを開催するみたいな。
それに今の学生は意識もしっかりしているし、バイタリティもある、しっかりしている人が多い。
でも結局、日本で発散する場所があまりないんですよね。
東京は資本がないと勝負しづらく、若者が一発当てづらい社会になって、緻密な戦いになり過ぎているので東南アジアのようなある程度、ルールが明確化されていないような場所のほうがいいのかなと思います。
ミノヘンのメンバーでも若くて野心ある学生が多く、彼らにはどんどん東南アジアへ出てほしいと思っています。
元気がある若者は東南アジアで仕事しながら日本人の強さを生かして勝負して、また日本に戻ってきてもいいと思うし、そこも繋げられたらと思う。
東南アジアで起業するような人ともどんどん絡んでほしい。
それこそ、東南アジアで本当にちゃんとしたいい企業ならインターンとしてミノヘンの学生を送るのもありですね。
日本でエネルギーあるやつを東南アジアに持っていくようになってくると全体的に盛り上がる気がします。
ミノンペンフェスは、箕輪編集室の魅力満載の素敵なイベントでした。
今現在も東南アジアへ行く日本人がどんどん増えていっていますが、これからもその流れはより加速しそうですね。
今後のアジアでのご活躍を期待しています!
1984年生まれ。宮城県出身。大学卒業後、広告代理店などに勤務し、2015年にカンボジアに移住。現地で日系サッカークラブの立ち上げに関わる。2017年1月カンボジア情報サービス入社。過去にアジアを中心に58カ国訪問し、様々な環境で行われているフットボールを体感し、情報発信。現在はカンボジアの魅力を伝えるメディア運営の傍ら、カンボジアのフットボール情報を発信中。
Twitter:@piropon_pin
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