(日本語) Moi Moi ライフ #12 未来へのバトン
(日本語) Moi Moi ライフ #12 未来へのバトン
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、中学校設立を応援する人々について。

未来へのバトン

昨年10月、アンコール・トムの北西の村に、カンボジア人である夫とともに「バイヨン中学校」を創設したことによって、予想外のうれしい声が寄せられるようになりました。

同世代のカンボジア人から、自分も中学校の運営に協力したい、という申し出が相次いでいるのです。

遺跡修復チームや博物館等でカンボジアの文化遺産を護る仕事に携わる専門家や技術者からは、バイヨン中学校で月に数回実施している特別授業で、自分の専門分野について講義したいという申し出が。

あるホテル経営者は教師1年分の交通費の寄付金を。また、副首相補佐官など、現在、カンボジア政府の要職に就いている仲間たちからも力強い応援が届くようになりました。

カンボジアで大きな事業を展開しているわけではない一カンボジア人が、自分の土地を国に寄付し、日本の支援者から寄付金や助成金など資金を集め、村に中学校を創設したこと、さらに、今までにないユニークな学校を運営しようとしていることが、自国の未来を憂える同世代の心をとらえたようです。

私はこれまで、カンボジアの農村地域で、インフラ整備・教育・人材育成などの活動を、村の青年たちとともに続けてきました。NGO設立から10年近くたとうとする今、精神的な豊かさに満ち溢れたカンボジアの魅力を維持しながら、加速度的に広がる都市部と農村部の格差を少しでも解消していくためには、志ある若いカンボジア人自らが、地道に行動を続けていくことが最も大切だと感じていたところでした。

このように、国内外から様々な支援と励ましを受け、学ぶ機会を与えられたバイヨン中学校の生徒たちには、将来、カンボジアのさらに貧しい地域を改善していく力となってほしい・・・

そんな思いを抱きながら、次なる展開を模索する日々が続いています。

(この記事は2014年2月に発行されたNyoNuym69号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリァップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事

 

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過去の記事

2:南の国の大きな森での車座会議
3:遺跡修復プロフェッショナル一家
4:新鮮な出会い
5:村の給食プロジェクト
6:読み書きができない村の若者たち
7:ひょんなことからレストラン経営へ
8:おばあちゃんになっても!?
9:中学校がほしい!
10:みんなで中学校をつくろう!
11:村の中学校が開校した!
12:未来へのバトン

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