NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)
シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。
今回は、バイヨン中学校の完成式典の結果について。
半年後、道は開けるか?
なかなか日程が決まらず、やきもきしていたバイヨン中学校の完成式典については前号に書きましたが、結局、その後さらに日程変更がなされ、決定したのはなんと式典の4日前!
主賓も首相⇒副首相⇒州知事と変更になりました。
しかし幸いだったのは、州知事の日程だけが、支援者70名がシェムリアップに滞在予定としていた3日間にちょうど重なったことです。
そして、さすがカンボジアですね。州レベルの式典ならば3日前に日程が決まれば開催できるという噂どおり、決定後の準備の早いこと、早いこと。直ちに州の儀典局員が訪れ、会場設営をはじめとするすべての準備を開始。
はるばる遠方から駆けつけてくださる皆さんになんとか顔向けできる式典が開催できる見込みとなりました。
そして式典当日。480名の中学校生徒と教員、そして約600名の村人が、校庭に設けられたテント内に整然と着席する中、定刻ぴったりに州知事が到着され、二転三転したそれまでの日々がまるで幻だったかのように、粛々と式は執り行われたのでした。
日程がなかなか決まらない中、直前になって航空チケットを取り直して帰国日を延長した支援者の何人かいましたが、皆さん、カンボジアのペースを理解されているようで、笑顔で滞在を楽しまれていました。
そしてバイヨン中学校のこれからについても気にかけてくださっています。特に半年後には、この中学校から初めての卒業生が出ます。ほぼ全員が進学を希望していますが、この地域に中学校がなかった3年前は、中学校進学率でさえ小学校卒業生の15%にも満たなかったという状況を考えると、果たして彼らの夢はかなうのでしょうか?
生徒たちは校長に何度も「バイヨン高校」をつくってほしいとお願いしているようですが、実現するのでしょうか?楽しみ半分、不安半分の半年間です。
(この記事は2016年4月に発行されたNyoNuym82号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)
一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリァップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事
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過去の記事
15:20年の重み
16:カンボジア遊農民のキュウリ畑
17:治水工事をめぐるてんやわんや
18:教師がいない危機に直面するバイヨン中学校
19:バイヨン中学校の菜園ビジネス
20:1日1000リエルのアンチエイジング体操
21:近くて遠いアンコール遺跡
22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
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