(日本語) Moi Moi ライフ #26 クメールの源流をたどり、スリランカへ
(日本語) Moi Moi ライフ #26 クメールの源流をたどり、スリランカへ
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリァップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、スリランカでの出会いについて。

クメールの源流をたどり、スリランカへ

クメールの源流をたどろうと、インドネシアのボロブドゥール(大乗仏教寺院、4~9世紀)やプランバナン(ヒンドゥー教寺院、9世紀)を訪れたのは3年前のこと。

それ以降、宗教・文化のさらなる源流として、インドやスリランカ等さらに西方からの歴史の流れを意識するようになりました。

そこで先日、念願のスリランカに向けて出発。まず圧倒されたのは時間軸の”桁”が違うことでした。日本の弥生時代にあたる紀元前に創設された数々の寺院が、現在も信仰の対象として生き続け、眼前に存在することです。

スリランカに仏教が伝来したのは紀元前3世紀。

その頃インドのブッダガヤから運ばれてきた菩提樹や、お釈迦様の歯を祀る寺院等を中心に、人々の篤い信仰が今でも脈々と息づいていました。

大乗仏教の世界的拠点となっていた都市もあり、その当時は世界各国から僧侶が訪れ、多くの経典がここから世界に渡ったそうです。

カンボジアや日本から寄贈された仏像や経典を納めた寺院もありました。その後の12世紀には、スリランカでは大乗仏教派が制圧され、現在のカンボジア同様、上座部仏教に統一されます。

そんな旅の最終日、今回の旅を総括するような場面に遭遇しました。空港で、スリランカ仏教巡礼を終えたカンボジア人信徒と、彼らを見送りにきていたカンボジア人僧侶に出会ったのです。

僧侶たちはスリランカで仏教を学んでいる留学生。聞くところによると、スリランカにはカンボジアの寺院もあり、100人ほどのカンボジアの僧侶が、仏教心理学、パーリ語、経典学などを学び、研究しているとのことでした。クメールの源流をたどりたいと訪れたスリランカの、旅の終わりにふさわしい幸運な出会い。

神聖な余韻に浸っていたのですが、実はその後、たくさんのカンボジア人僧侶たちとフェイスブックで繋がり、情報交換が続いています。お坊さんもフェイスブックで布教活動を行う時代なのですね!(笑)

(この記事は2016年6月に発行されたNyoNuym83号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリァップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
JSTホームページ Cafe Moi Moi 紹介記事

 

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16:カンボジア遊農民のキュウリ畑
17:治水工事をめぐるてんやわんや
18:教師がいない危機に直面するバイヨン中学校
19:バイヨン中学校の菜園ビジネス
20:1日1000リエルのアンチエイジング体操
21:近くて遠いアンコール遺跡
22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
26:クメールの源流をたどり、スリランカへ

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