(日本語) Moi Moi ライフ #27 初めてのクーラー
(日本語) Moi Moi ライフ #27 初めてのクーラー
2020.02.01

NyoNyum Magazine にて連載しているスローライフエッセイ「Moi Moi ライフ」
(「Moi Moi」とは、クメール語で「ひとつひとつ、ゆっくりと」の意味)

シェムリアップで暮らす小出陽子さん。自身が運営するカフェレストラン「Cafe Moi Moi」での発見や、NGO「アンコール人材養成支援機構:JST」の活動、JSTがサポートしている「バイヨン中学高等学校」の近況、そして普段の暮らしで感じたいろいろなことを綴ります。

今回は、小出さんのおうちとカンボジアの夏について。

初めてのクーラー

今年のカンボジアの猛暑期は、暑い日が長々と続きましたね。
ただ人間の記憶はあいまいなもの。「喉元過ぎれば…」ということわざにもあるように、猛暑期が巡ってくるたびに、私たちは決まって「今年は例年より暑い」とか「今年は雨が降るのが遅い」と言っているような気もします。

記憶をたどれば、6年前のクメール正月も異常に暑く、クーラーなしで生活していた私は居ても立ってもいられず、急きょ国外の清涼地に避難しましたし、また日中は仕事がはかどらないため、昼夜逆転の生活を試みた年もありました。

そう、カンボジアに家を建てて11年、私はこれまでクーラーなしの生活を続けてきました。
というのも、家を建てることになって真っ先に考えたのが「カンボジアの気候でも心地よく住める住宅」で、冷たい空気が室内を抜ける“風の道”を作るなど、随所に工夫を施してみたのでした。

試行錯誤をとりあえず形にし、不具合があれば改善していくつもりで作った実験住宅です。
その甲斐あってか、特に不便を感じずに長年暮らしてきました。

ただ、当初からの問題は、猛暑期の約1か月間。昼過ぎになると暑さで何をするにも億劫になる日々が続きます。
とはいえ、仕事の効率が悪くなるのは予測済みなので、あらかじめ仕事量を調整し、クメール正月休暇は国外に出たりしながらなんとか乗り切っていました。

けれども今年はそんな小細工は効かず、気づいた時にはパソコン作業で常時机に当たっている腕の皮が赤くただれるように炎症を起こしていたのでした。

そして、ついにクーラー設置を決意。
設置後はというと……、あまりの快適さに今までの生活はなんだったのか!というほどの衝撃の毎日でした。

これまで「我慢」をしていたつもりはなかったのですが、無意識のうちに暑さがストレスになっていたことにも気づき、年甲斐もなく無理をするものではないと反省しているところです。

(この記事は2016年12月に発行されたNyoNuym84号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

コラムニスト: 小出 陽子(こいで・ようこ)

一級建築士 ・ レストランオーナー
2000 年、UNESCO/JSA 遺跡修復オフィス建設のためカンボジアに赴任。2005 年シェムリアップにレストランカフェ「Cafe Moi Moi」 をオープンする。同年 JST(NGO;アンコール人材養成支援機構)を設立に携わり農村地域の支援活動を始める。現在は、バイヨン中学校、高校の運営も行っている。
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19:バイヨン中学校の菜園ビジネス
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21:近くて遠いアンコール遺跡
22:バイヨン中学校の養殖プロジェクト
23:お菓子をめぐる歴史ロマン
24:どうなる?バイヨン中学校完成式典
25:半年後、道は開けるか?
26:クメールの源流をたどり、スリランカへ
27:初めてのクーラー

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